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甲状腺がんの異常多発がますますはっきりしてきた。第18回福島県民健康調査検討委員会(2/12)と、第4回甲状腺検査評価部会の公表データ(昨年11/11)

【甲状腺がんの異常多発がますますはっきりしてきた。第18回福島県民健康調査検討委員会(2/12)と、第4回甲状腺検査評価部会の公表データ(昨年11/11)】
 2/12の公表結果の特徴を、昨年11月のデータと合わせて読むと、 

【1巡目検査】で、細胞診で甲状腺がんと判定された子どもが109人(前回から1人増加)、そのうち手術を受けた子どもが86人(+2人)になりました。1巡目検査の進展状況を下の表にまとめてみると、2011年度、2012年度の調査地域の確定結果はほぼ出そろった感じですが、2013年度の結果はまだ不完全なのでもう少しがん患者が増えるかもしれません。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101599.pdf
甲状腺18.jpg
 10万人当たりの甲状腺がん手術症例数を年度ごとに単純計算すると、表の右の欄の数値になります。全国平均は多めに15~24歳の罹患率の平均を選んで、同1.1人です。

 重要なことは、2011,2012年度の細胞診で「がんまたはその疑い」と診断された子どものうち90%が手術を受けたこと。2013年度もこの程度の割合まで手術を受ける子どもが増えるのではないか、と危惧されます。

 しかも昨年11月11日公表データ(第4回甲状腺検査評価部会)ですが、県立医大が行った手術54人のうち手術後の病理診断で「腫瘍径10mm以下でかつリンパ節転移、遠隔転移のないもの・・・・が3例、6%」。逆に言うと10mmを超えるがんは39例、「甲状腺外浸潤」37%(20例)、「リンパ節転移陽性」74%(40例)と報告されました。合わせて90%以上にがんが動き始めている兆候があり、これらは決して軽くない甲状腺がんです。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/90997.pdf
がん手術例.jpg
【2巡目検査】では新たに4人にがんが見つかり、合計8人に。うち手術が1人。→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101600.pdf
 
 この8人の腫瘍の平均直径は10.2ミリ。1巡目検査ではA1(嚢胞、結節なし)が5人、A2(5ミリ以下の結節など)が3人。また前回検査から2年後に受診した人が2人、3年後の検査が6人ですから、この約3年間に5ミリ以上10ミリ近く腫瘍が大きくなったということ。なお17回検討委員会(昨年12月25日)で鈴木眞一氏が、1巡目検査の画像データを再検討して「見落としはなかった」と言明しました。

 この甲状腺がん8人を、二次検査結果判定の割合を考慮、潜伏期間を3年と仮定して計算すると、発症率は10万人当たり・年間8.3人。全国平均(多めに15~24歳の罹患率の平均を選んで、同1.1人)の7.5倍です。

 手術を受けた子どものうち2巡目検査時に10歳と13歳の子がそれぞれ1人。この年代の子どもの甲状腺がん罹患率は100万人当たり・年間2人ですから、これは明らかに異変です。

【もう「スクリーニング効果」は使えないから、「過剰診断」】
 福島県立医大と環境省は今まで、甲状腺がんの異常多発を否定するために、スクリーニングで無症状の子ども全員を検査して「本来ヒトが成長してから見つかる可能性のあるがんを網羅的な検診によって早期に発見している」と説明してきました。しかしスクリーニングでがんと判定された子どものうち9割に軽くない甲状腺がんが見つかった事実は、県立医大の説明を明確に否定します。

 環境省にこの点を問い詰めると、「鈴木眞一教授が日本癌治療学会で発表した内容は、これと異なるものではないと聞いている」と回答しました。「これ」とは上の見解です。苦し紛れの言い逃れです。次の3/27交渉時にこの矛盾を突きます。

 検討委員会委員である津金昌一郎氏(国立がん研究センター)が昨年11月に、こんなことを言い始めました。

 「福島県において18歳以下の甲状腺がんが100人を超えて診断されている現状は基本的には何かの要因に基づく過剰発生が起こっているか、将来的に臨床診断されたり死に結びついたりすることがない、いわゆるがんを多数、過剰診断ですね、いずれかで考えないといけないんではないかなと。」(第4回甲状腺検査評価部会) 彼はその理由として、

 福島県の各年0歳人口と全国甲状腺がん罹患数などをもとに計算された、原発事故前の2010年段階の福島県18歳以下人口の甲状腺がん「有病者数」(18歳までに甲状腺がんと診断された事がある人数)は「2.1人」と推定される。甲状腺検査受診率が80%とすると「1.72人」だ、と言います。すると福島で100人以上に甲状腺がんが診断された事実は、この61倍の発症数となり、「スクリーニング効果・・・・・だけで解釈するにはどう考えても多すぎて困難であろう。」 そして彼は過剰診断の可能性が高いと主張します。(異常多発も完全には否定しません。)
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/91000.pdf
福島推定.jpg
 ところで61倍というのは少し大雑把な数字です。1巡目の甲状腺検査には3年かかったので、検査対象の年齢が年度ごとに19歳以下 → 21歳以下に変化します。先の有病者数データの20歳以下を選ぶと3.8人(その80%は3.04人)ですから34倍。21歳以下を選ぶと25倍。まあ異常多発であることに変わりはない。

 彼が持ち出したこの計算と比較が今までのスクリーニング効果とどう違うのか? 今は細かいことに触れませんが、本質的に同じ。ただし「チェルノブイリでは4~5年後から」と言うのでは説明にならない、潜伏期間が20年近くあることになる。

 そこで新たに異常多発を否定する理由を探して、「過剰診断」という言葉を持ち出しました。最近の流行でしょうか?
 
【どの部分が過剰診断?】
 ところで甲状腺検査のどの部分が過剰診断なのか? 医学の素人が考えるには・・・・・、

 甲状腺検査の過程は、
 一次検査(エコー)→ BC判定などで二次検査(エコー、血液検査など)
         →(以降は保険診療)→ 経過観察→ 必要に応じて細胞診→ 手術、です。

 実際にがんを判定するのは「経過観察」に移行した後です。ここで適正に診断/治療されるなら、必要ない検査・手術をして患者を苦しめる過剰診療はないはず。ところで県立医大によると、90%以上の患者に10mmを超えるがんや「甲状腺外浸潤」、「リンパ節転移陽性」が見つかった。
 
 そして甲状腺評価部会の清水一雄部会長は第4回部会(昨年11月)の中で、「104のうち58例・・・・・・・・、慎重に適応選んで手術をされていると判断したい」と述べ、県立医大の甲状腺手術の大半は診療ガイドラインに沿って適正に行われている、と認めました。(議事録を読むと、私にはわずかに疑問が残りますが。)

 一方、甲状腺評価部会で渋谷健司氏らが主張する「過剰診断」とは、がん判定/治療の場面ではなく、18歳以下の子ども全員を対象に検査する事を指します。不要な検査で県民にいらぬ負担をかけている、と。これが甲状腺検査を中止させる主張になります。

【第5回甲状腺検査評価部会(2/2)では・・・・】
 この論理が明確な提案として現れたのが第5回甲状腺評価部会でした。
 渋谷健司氏の提案
  → https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/100579.pdf
渋谷1.jpg渋谷2.jpg

 津金昌一郎氏の提案
  → https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/100580.pdf

 この部会で「甲状腺がんの治療費を公費で負担するべき」との意見で一致したと伝えられます。しかし渋谷らはその理由を「・・・・・・・・」と主張します。これは国と東電に健康被害の責任はなく、過剰診断した福島県が悪いのだから県が費用を負担せよ,という主張です。彼らもいろいろ考えますね。

 しかし県民の意見には、もっと甲状腺検査を増やしてほしいという声がずっと多いようです。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101607.pdf

 3/27の環境省請願はこの点を問う交渉になります。


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