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3/27、放射能健診署名10730筆を提出。合計131531筆

【3/27、放射能健診署名10730筆を提出。合計131531筆】
 3月27日に環境省請願交渉と署名提出を行いました。環境省の専門家会議「中間とりまとめ」(昨年12月)と「当面の施策の方向性」(今年1月)で、福島県外の放射能健診を拒否し、県内でも甲状腺以外の健診の拡大を拒否しました。一方2月に福島県が、原発事故以降の子どもの甲状腺がんの治療費を負担すると公表しました。これら情勢の変化のもとでの交渉となりました。
(福島みずほ議員事務所に請願のためのご尽力を頂きました。)
       
 私たちの要求は、①福島県の内外で放射能健診を実施すること、②福島県の甲状腺がんの患者の治療費を国が負担すること、③福島の甲状腺検査のデータは受診者本人のものであるとの原則を確認すること。 交渉はこれらへの回答から始まりました。

【環境省:「放射能の影響でない健康被害は環境省の管轄ではない」「市町村の甲状腺検査データは検討の対象外」】
 以下、質疑・交渉です。(実:実行委員会 環:環境省)
(実)2つ目の要求から。福島県と相談していくと言うが、具体的には?

(環)今は言えない。もう少し待ってください。

(実)福島県との交渉時に、県は2巡目検査で甲状腺がんが見つかって危機感を持っていると表明した。医療費は本来なら国費で補償してほしいと繰り返し言っていた。「当面の施策の方向性」には「県に公付金を出す」と「県と協議する」とあるが。

(環)要望は頂いている。結論はまだ。協議を続ける。基本的には県がすること。

(実)福島県は事故時に18才以下の人の甲状腺の病気を補償対象とした。事実上、原発の影響を否定できなくなったと受け止めている。県民健康調査の延長として、という問題はあるが。

(環)「中間とりまとめ」を踏まえると、原発事故の影響は考えられない。それでも19歳以上でも医療費がかかる人には、放射線の影響か判らないが支援していこう、という判断。

(実)今の話だと、判らないけれどとりあえず支援する、と。福島県の要望を受けてということですね。すると福島県以外の自治体から放射能健診の要求、特に茨城県、千葉県から多く出ているが、1点目の要求だが福島県では認めるが他の所は認めないのはなぜか?

(環)福島県が一番事故で被ばくした人が多い。まずは福島県に、可能性は低いがそういう人が多いので、その点を少し加味して。近隣県では有識者会議の結論で「原発事故の影響は考えにくい」となった。

(福島議員秘書・池田)被ばくはしたけど健康影響はない、という結論は判らない。子ども達のがんや手術がこれだけ出ている。

(環)原発事故による、を抜かすといけない。専門家会議「中間とりまとめ」では原発事故の影響の可能性は低いと。私たちはいつも放射線に被ばくしている。

(実)「中間とりまとめ」は6割が国連、WHOの引用で、いかにチェルノブイリより被ばく量が少なかったと一所懸命に書いている。一方で、福島で多くの甲状腺がんが見つかり、その8割の人がすでに手術を受けている、という現実に全く触れていない。 今日は手元に福島県立医大・鈴木教授の報告書を載せている。術後病理診断で手術54例のうち51例は腫瘍が10ミリ以上か、リンパ節転移など転移があった。9割以上が放置してはまずいがんだった。「網羅的に症状のない子どもを検査して、一杯がんが見つかった、放っておいても一生病気は発現しない」と言う検討委員もいるが、現実にこれだけ、すでに動き出しているがんが多い。
 これらのことが「中間とりまとめ」「施策の方向性」には言及さえされていない、なぜか?

(環)それはあくまで甲状腺がん手術についてのデータ。これが原発事故の影響でがんになったか、手術が必要になったか、を専門家会議で検討してもらった。

(実)それは間違っている。放射能の影響かどうかを見る前に、甲状腺がんがこんなに多発していることを認めろ。今まで多発ではないと言ってきた福島県も、もう言わなくなった。放射能の影響かどうかはさておき、多発の可能性が高いのだから手を打ってもらいたい。福島県はそれで医療費として動き出した。その時、茨城や群馬、栃木は大丈夫と言っていて良いのか?汚染地域の北茨城、高萩、松戸市などが自力で甲状腺検査をやり始めた。なぜ国は支援しないのか?

(環)それは難しい。環境省は全般的な甲状腺がんまで引き受けるわけにはいかない。まず原発事故の影響かどうか調査する。全般的な甲状腺がんは他の省庁に。

(実)でも福島の場合は、放射能の影響かどうか判らないが、国が基金を出して県民健康調査を支援している。他の県、市町村にも同じように関わったらどうか、要望も出ているだろう。

(環)敏感な所はやっているが、県の有識者会議で「放射線の影響の可能性は低い」と。それに市町村の要望はまず県がまとめることになっている。国としては踏み出せない。

(実)「当面の施策の方向性」に、甲状腺がんの手術が増えている現実を反映する文言が何故ない?

(環)その質問を先に受けていれば何か検討できたが、いきなり訊かれても答えられない。

(実)鈴木さんも「当面の施策の方向性」の作業に関わったでしょう。環境省の議論の中で、がん発見数だけでなく、手術例が増えたことは、問題にされなかったのか?

(環)手術例が増えたことも認識して、県立医大に伺って「中間とりまとめ」の結論だと判断して「施策の方向性」をまとめた。

(実)福島県は危機感を持って動き出した。環境省も同じ危機感を持たないか?動き出した市町村、近隣県の人たちの不安は高まっている。

(環)「中間とりまとめ」を踏まえると、近隣県にも同じようにしていくとはならない。専門家会議の結論が施策の判断のベース。

(実)茨城県牛久市が福島県立医大のように甲状腺検査をやっている。さっき放射能対策室の人に訊いた。原発事故時に0~18歳の市民の検査をして今年2月末までに、105人中B判定が8人。牛久市は年1回3000円を補助し、27年度も予算計上。柏市も3000円補助。こうして動いている自治体があるが、この大本を作ったのは国と東電だと思わないか?

(実)B判定が8%もあることは、単に「不安」では済まないと思う。

(環)情報ありがとうございます。検診やセミナーを通じて住民の方の生の声を集めている。専門家会議は、チェルノブイリではヨウ素のコントロールができず、牧草からミルクを通じて小さい子どもの体に入った。日本では事前にコントロールできて、ヨウ素の線量もより少なかった。専門家の判断で線量推定からすると甲状腺がんになる可能性は低い、をベースに検討頂きたい。

(実)住民の生の声とは、どこでどんなふうに集めたのか?

(実)私は松戸市から来た。千葉県に「有識者会議」はあるのか?東葛地域は柏、松戸、流山など汚染調査重点地域。県に任せず東葛9市で復興庁に行ったり、「中間とりまとめ」に意見書も出しているが、さっきの話で、県の有識者会議が「問題がある」と言わない限りどうしようもないのなら、9市長が団結しても何もならないのか?汚染重点地域に指定され、自費で検診もやってきた市に対して支援するのが当然ではないか?

(環)住民の声は住民説明会で、福島県で今年度500人近く、近隣県でもかなりの人数。私の感想ですが、中途半端な知識で誤解されているという印象。千葉県に有識者会議があるかと言うことだが、各県の有識者会議の結論で「放射線の影響は考えられない」と聞いている。

(実)千葉県もですか?

(環)今日その質問に対する答えは持ち合わせていない。私たちは国際機関その中でも公的な機関、国内の専門家会議の判断を公式な材料としている。

(実)さんざん国際機関、専門家会議と言うが、それらが87人も甲状腺がん手術を受けた事実を吹っ飛ばしている。結論に一言も触れられていない。健康被害の責任を回避している。

(環)がんの人数が多い点の責任回避と言うが、専門家会議では、原発の放射線の影響でそうなったとの判断にはなっていない。

(実)『ヨウ素被ばく量が少ない』から出発すれば、影響出ないとの結論になるのは当たり前。一方で放射能の影響を最も受けやすい甲状腺でがんが多発、しかも一生見つからないがんではなくて、現に手術をした人が87人。この現実が全く国の機関で議論されていない。なぜ?

(環)専門家会議で「過剰診断かどうか?」とも議論されてきた。過剰診断の可能性はある。

(実)「過剰診断」の言葉を使った委員は、福島県のがん手術は過剰ではない、これを過剰診断とは言わない、と言っている。すると手術について環境省、専門家会議は一言も議論していない。福島県はがんの多発を否定できなくなって動き出した。「危機感を持って検討している」と。環境省に危機感ないのか?

(池田)鈴木さんは柏とか牛久市や丸森町の検査結果を初めて聴いたのか?この数字を専門家会議の方々は把握しているか?

(環)私は、市町村の判定結果は存じない。専門家会議のことも材料持っていない。

(池田)福島、近隣県の子どものこのような判定が出ているが、それでもなお原発事故と健康被害の関係がないと言うなら、その方々はその責任はどうするつもりか?

(環)市町村が検査をやるのはかまわないが、甲状腺検査は専門的で誰でもできるものではない。各市町村がどうやるか市長の判断だろうが、国はそのデータに責任を持てというのは・・・・。

(池田)専門家会議の人たちは子ども達の健康被害に責任を持たないと言うことか?

(環)国の専門機関でやった時には責任が生まれる。福島県立医大で受診されて診断が出たものは認めるが、それ以外で診断されたものには環境省はタッチしない。

(池田)なら今後、健康被害が増えた時、因果関係なしと判断した国の責任は問われますね?

(環)健康被害が増えているかどうか判らない、原発事故由来の健康被害、という意味で。

(実)被害は増えている。87のがん手術、どう考えても臨床罹患率の10倍ぐらい多い。

(環)数が増えてもそれが原発事故の影響の可能性は低いと判断している。福島では健康調査を詳しく追跡するが、近隣県に診察を広げる事は考えていない。

(実)県外市町村の甲状腺データも集めないのか?それは「当面の施策の方向性」とも矛盾する。「当面の施策の方向性」には近隣県の疾病動向を調査すると書いてある。

(環)甲状腺検査は専門的な知識を要する。決められた機関で受診し診断されたデータで判断する。

(実)それは各医療機関への冒涜だ。私の近くの児童館では30分かけて問診、エコー撮影、小児の場合には内分泌の医師も診る。その場で説明もする。市町村の努力に対して「データは関知しない、勝手にやるのは構わない」と言うのは。各市から環境省に読影できる専門家の養成も要望している。それを待っていられずに動き出したのだ。責任ある省の回答ではない。

(環)専門家の養成は十分承知している。これからようやく始めるところ。

(実)健康不安の聞き取りに莫大な金を掛けるより、医師を養成とか宝呼ぶとか増やさないと、2巡目で8人のがん患者、しかもまだ2巡目検査少ない、心配だ。受診しないでいるとひどくなるのも心配。国の金で検査やってほしい。放射能の因果関係は当たり前、確信している。

(環)リスコミよりも専門家の養成、耳の痛いご意見ですが伺いました。 
【署名は131000を超える】 
 この日環境省は、「甲状腺がんは放射線の影響ではない」「放射線の影響でない甲状腺がんは環境省の管轄外」「専門機関のデータ以外は検討しない」と言って開き直りました。しかし甲状腺手術87例の見解を繰り返し問いましたが、「放射線の影響ではない」「過剰診断」と言うだけで、がんが多発する現実を否定できませんでした。
 
 また市町村の放射能健診の要求を拒否する根拠に、「近隣県の有識者会議」とか「県がまとめるもの」という理屈を持ち出し、土台が実にもろいことを露呈しました。「近隣県の有識者会議」は、千葉・茨城ではその存在も怪しく、栃木・宮城・群馬では、いずれも事故後1年以内に検討を終え、内容も線量評価がほとんどで粗末なものです。政府は、近隣自治体が独自に進める甲状腺検査を強く意識しています。沖縄・辺野古基地と同じく、自治体からの要求と運動が政府の開き直りを崩す力になることを感じた交渉でした。

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 この日提出した署名は10730筆、合計13万を超えました。しかし署名のペースが落ちています。署名キャンペーン用のリーフレットを準備中です。再度、署名運動を全国に広げる工夫と、特に自治体の動きを進めることが重要です。

第5回甲状腺検査評価部会(2/2)の議事録を読みました

【第5回甲状腺検査評価部会(2/2)の議事録を読みました】
 福島県の県民健康調査検討委員会の下に、「甲状腺検査評価部会」があり、甲状腺がんの評価や健康調査のやり方を議論しています。その第5回の会合の議事録が最近公表されました。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/109100.pdf
  
 読んだ印象は、議論の応酬はあるが、最も重要な部分に議論が向かわない。意図的に回避しているのか?と思われます。最も重要な部分とは、甲状腺がんの手術が87例に上ったが、これは異常な多発なのか?そうではないのか?という問題。議事録にはこの部分の周辺をさまよう発言が繰り返し出てきます。
 
(以下、議事録は長いので象徴的なところを抜粋。ただし核心部分だけを抜き出しても議論のつながりが見えにくいので、なるべく流れが判るように引用しました。正確さを求める人は議事録全文を読んでください。)
 
 まず前半。渋谷健司氏が、がんの発見数と手術例が明らかに多いことを認めた上で、異常な多発ではなく「過剰診断」と決めつけます。また甲状腺がん手術が多いのは手術のガイドラインが不適切だからで、作り直せと繰り返し要求します。
 
(渋谷14ページ)
「私の意見としては、今回明らかに有病率は通常のがん登録から予想されるよりはるかに高いということで、可能性としては何か異常な事態が起こっているのか、あるいはいわゆる過剰診断という事が考えられて、今の被ばく状況から考えると過剰診断。」
「やはり今きちんと診療ガイドラインはあると思います。ただそれは病院に症状を持って来た患者さんを対象にして作られた診療ガイドラインであって、今回のように無症状の謙譲な方を対象にして検診で発見された甲状腺がんに対するガイドラインではないわけです。」
 
 これに対して県立医大や検討委員会の委員らから、手術を行う判断は極めて慎重に行った、医学界のガイドラインも過剰診療を考慮して作ったものだ、との反論が繰り返されます。すこし順序が変わりますが、以下のような議論です。
 
(西15)
「例えば今回の本格調査で17.4ミリの方はですね、これは本当にがんだとオペされたか知りませんけども、見つかって良かったんじゃないかなとは思いますですね。それから子供の場合はやっぱり転移も多いですし、肺への転移も多いと文献的にありますので、ですから成人のガイドラインと小児のガイドラインとはですね、ちょっと違うような気がするんですよね。(中略)それ一部はあるかもしれませんけども、全員が過剰診断ではないだろうと。一部は過剰診断があり得るかもしれません。」

(渋谷18)
「そもそも症状がない方でたまたま甲状腺検査、超音波検査をして見つかったがんというのは恐らく前回の津金先生のデータからも一生悪さをしない可能性は高いと。病院にいらっしゃって今の診断ガイドラインに沿った方はもちろん手術しなければいけないけれど、今回超音波検査で見つかったがんのお子さん達はですね、そのガイドラインを機械的に当てはめて良いのかというのを僕は問うているわけです。」

(清水修二18)
「同じ大きさの結節なりなんなり見つかった場合でもその後の扱いに区別をするというふうに仰るわけですか。」

(渋谷18)
「そうです。」

(清水一雄18)
「症状が出て病院に来る患者さんというのは遅いです。ほとんどの患者さんは無症状ですね。痛みもない、たまたま家庭で食事をしている時に飲み込んだらポコッと甲状腺のしこりが動くのが見えて、人から指摘されたとか、そういうところから見つかる。これはかなり大きくなってからですね。で、最近来る患者さんはあの外来でやっていますとエコー検査の例えば頸動脈エコーの検査をやっている。ついでに甲状腺をひっかけた時に見つかってしまったとか、これはあの甲状腺を検査しようと思って病院に行ったわけではなくて見つかる方もいますね。それで比較的進んでいる人もいます。」

(西18)
「子供の場合はですね余命期間が長いですよね。40代50代の人はせいぜいあと30年ちょっと。しかし10歳位だったら70年位ありますから余命帰還が全然違うということと、いろんな英文には書いてあるのですけれどもやっぱり子供の場合は結構大きくなるとアグレッシブにかなりアグレッシブに治療しなければならないからEarly detectionが良いのじゃないかなという傾向もアメリカの報告にそういう風に書いてあるんですよ。だから人間ドックの従来の考え方と子供の考え方とは違うのだろうと。」

(志村19)
「今の診療ガイドラインは症状がある方に対してというよりもそういう偶発的にいらっしゃった方に対するガイドラインという色彩が強いもので、それは今回の検診と基本的には同じだと考えています。あと過剰診断は成人ではごもっともその通りだと思いますが、小児の場合は本当にそれが過剰なのかどうかというエビデンスは無いと思いますので、我々は臨床的にリスクを非常に厳密に評価して対応しております・・・・。」

(渋谷20)
「先ほど西先生が仰った、色んな文献で子供の甲状腺がんというのはアグレッシブであると、転移も多いとそういうことを仰ってましたけど(中略)、今回のように小さくたまたま症状がない方を全て甲状腺の検査をして見つかったがん、本当にそうなのかどうかというのはやはり判らないのだと思うのですね。」
 
 この議論の過程で、手術数が異常に多数である事の意味、特に手術症例の症状の検討・分析や原因の検討に議論が向かうきっかけは幾つかありました。しかし・・・・・・、
 
(渋谷21)
「やってみてこれだけ多数見つかって、80数例も手術されているわけですよね。それぞれが本当にする必要があったのか?そうしたものを考えた点で、前回の津金先生のデータからすると予測される有病率よりもはるかに高くて(中略)、今の被ばく量からするとそこまで出る、あるいは時期的にもそこまで出る可能性は低いというのは皆さん何度も述べているわけですよね。じゃ、可能性としてどうなのかと考えた時、過剰診断(中略)、それが一番妥当であると。(中略)特に過剰診断見つけてしまったことはしょうがない、じゃ、そのあと手術するのかどうか。」

(清水21)
「細胞診で109人見つかって85人手術したわけです。これは前回の委員会・部会の時に、鈴木先生からご説明いただいたように、109人全員手術したわけではなく、その中で専門家、外科医が集まってあるいは内科の先生が一緒だったかもしれませんが、この手術は必要だと判断して行った85名であると私は理解していますけども。」

(鈴木21~22)
「我々は、日本では、過剰診断、診療になるということを百も承知で日本が世界に先駆けてそういう基準を設けて過剰にならないように、なるべく微小がんを取らない、経過観察をするということで、この基準もその1つとして作られたもので(中略)、日本の全国の専門家と相談してこの基準も決めております。その結果でやっていることです。(中略) 今見つかっているのは過剰に早い所ではないですが、一般的にとるべき臨床例の早いほうに来ていますので、ご存じのように片葉切除が非常に多くて、(以下省略)」

(加藤23)
「鈴木先生の話ですと5ミリ以下の結節に関しては、これはもうフォローアップで行くというふうなことをお話しされたと思いますで、で5ミリ以下の結節というのはかなりの部分でがんも含まれているわけですが、それはなるべく触れないでというふうなことでフォローアップして行きましょうという形で、一応そのOverdiagnosisを意識した形で治療を行っているんではないかなと自分自身では感じたのですけど、その辺は意識されているのでしょうかどうか」

(鈴木23)
「剖検例で見つかる甲状腺がんが数十%ある。そのほとんどが5ミリ以下その中でもさらに小さいのです。多数多発して小さい物が多いということで5ミリまではそういうものがかなり含まれるだろうというのが想定されています。それが10ミリっていう所ではまだコンセンサスが正確に得られていないので5~10は二次検査に上げた上で、二次検査で厳しい診断基準で細胞診をする人はそこからセレクトされます。極めて悪性が疑われる人だけ細胞診をする。ですから実際見つかった人も手術例ではご存じのように小さいなりにも進行しているものを今のところ選べているものが多いということで、そういう抑制的な基準で今、子供にも適用しているというところでございます。」
 
 これらの中で、改めて甲状腺がん手術の症例の多くが「一生悪さをしないがん」「見つけなくていいがん」ではなく、「一般的にとるべき臨床例の早いところに来ている」「手術例では・・・・小さいなりにも進行しているものが多い」などが主張されました。
 
 しかし議論はそれ以上具体的に深まらず、『手術は過剰診療ではない』という自己弁護と甲状腺がん手術のガイドラインの是非に終始します。そして渋谷氏が核心を突き、部会長がまとめます。
 
(渋谷22)
「すみません、先生言っていることと僕言っていること全然矛盾していないのですよね。まず過剰診断あると先生認められているのですよね。ですから過剰診断はあるわけですよ。」

(清水22)
過剰診断に気をつけなくてはいけないという所では、意見は一致しているというふうに思います。」
 
 最後にはこんな指摘もありました。
 
(欅田24)
「放射線との関係についてはどうなのかということに関して言えば、これは放射線の影響ではないだろというのは県の見解になっていますし、それは私たち放射線に関する研究をやっている人あるいはUNSCEAR,WHOの国際機関の報告でも(中略)概ね日本、今回の福島の事故の場合はないであろうという風な結論をいただいているところですよね。そしたら・・・手術適用になる人がこれだけおられるということになれば放射線の影響がないというのであれば、全国の人でも同じだけ手術適用のお子さんがいると言うことになると読まれてしまうことにもなりかねないですけど、そこはどうなるのでしょうか・・・」
 
 しかしもうこの問題は取り上げられませんでした。
 
【「過剰診断」で重大問題に蓋をした】
 「放射線の影響は考えにくい。」
 「放射線被ばくによる異常多発はないから、あとは『過剰診断』しか理由は考えられない。」

 これは検討委員会の共通認識、いわば前提条件です。「過剰診断」はスクリーニング効果の言い換え。甲状腺評価部会は大きな矛盾を「過剰診断」の言葉で抑え込んで蓋をしました。
 
 しかし甲状腺がん手術数から判断すると明らかな異常多発。しかも「臨床例」「小さくても進行している」がんだと主張されます。ここに彼らの一番の弱点があります。
 
 前回(昨年10月)、手術54例の94%は10ミリ以上の腫瘍であるかまたは「転移」「浸潤」を伴っていたと公表した県立医大の委員らは、今回は反響を恐れて具体的な資料を出さず、議論の中でも手術事例の症状の具体的な報告・説明をしませんでした。彼らはその意味~福島の子どもの甲状腺がんは「一生悪さをしないがん」ではない~を当然わかっていますから、意図的に議論を避け、蓋をしたのでしょう。これは他の多くの委員も同じです。
 
 こうして議論は本質的に渋谷氏の主張する方向でまとまり、3/24の第6回甲状腺評価部会には、上の議論を反映した「中間とりまとめ案」が提出されました。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/107582.pdf
 
 部会の結論は、甲状腺がんの手術事例の異常な多さは言及されず、再度「放射線の影響とは考えにくい。」そして言い訳のように「事故初期の放射性ヨウ素による内部被ばく線量の情報は、今回の事故の影響を判断する際に極めて重要なものである。」
 
 こうなるのは、検討委員会が被ばく線量の線量評価にしがみつき、現実の健康被害の異常事態を受け入れる腹がないからです。線量評価から出発すれば「健康被害が出るはずがない」と言って、しばらくの間は放射能の健康被害の否定できます。
 
 もう1つの理由は、「県民健康調査」の精度維持を目的にしているから
 
 県民健康調査を続ける上で「過剰診断」の批判は受入可能な範囲です。多少データ数を絞っても、被ばく線量の大小がはっきりしている人を検査する方がデータの有効性は高まる。それにヨウ素被ばく線量の調査は、ICRPの枠内なら「放射線の影響とは考えにくい」を裏づける結果をどうにでも作れます。
 
【県民の不安と不信を無視できない】
 議論の前半は上のように困った結論になりましたが、後半では県民の世論が行政に影響を及ぼしていることがよくわかります。
 (この直後の検討委員会には「県民の声」が初めて資料に上り、報告されました。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101607.pdf )
 
(福島県保健福祉部長20)
「報道などで過剰診断というのを見て非常に違和感を覚えるという、これは保護者の方のご意見です。なぜかと言いますとまさに放射線被ばく、チェルノブイリの例を皆さん勉強なさっていて、やはり子供さんのことが非常に心配だ,ということで2年にいっぺんと言わず毎年検査してくれというような声が県にも多数寄せられてきたということで、・・・・(以下省略)」
 
 甲状腺がん治療費の公費負担はすでに合意済み。その上で、検査データの所有に関わり県立医大の説明の仕方に議論が流れます。これは現実に県立医大の甲状腺検査の不満・不信が無視できなくなっているから。
 
 しかし根本的な解決策は提案されません。それよりも「そのデータが公費負担をすることによって誰のものになっちゃうの、ということも明示されなければ、やっぱり不安を確実に取り除くことはできない」との発言からは、福島県が甲状腺治療の公費負担により医療データも自分の物にするのか?という疑念が湧きます。県も公言するように、県民健康調査は「検査データは県の物」とする制度です。
  
 3/24の「中間取りまとめ案」も、検査データは本人の物とは言いませんでした。ここにも彼らの矛盾があります。県民健康調査を維持する限り、不信感は減りません。
 
 3月27日、希望する全ての人への放射能健新を要求して環境省と交渉しました。環境省の態度は年末以来の情勢の変化の中で、とても頑なになっていました。一方で彼らの弱点を再確認した交渉でした。福島県の動きを踏まえて、次回報告します。

甲状腺がんの異常多発がますますはっきりしてきた。第18回福島県民健康調査検討委員会(2/12)と、第4回甲状腺検査評価部会の公表データ(昨年11/11)

【甲状腺がんの異常多発がますますはっきりしてきた。第18回福島県民健康調査検討委員会(2/12)と、第4回甲状腺検査評価部会の公表データ(昨年11/11)】
 2/12の公表結果の特徴を、昨年11月のデータと合わせて読むと、 

【1巡目検査】で、細胞診で甲状腺がんと判定された子どもが109人(前回から1人増加)、そのうち手術を受けた子どもが86人(+2人)になりました。1巡目検査の進展状況を下の表にまとめてみると、2011年度、2012年度の調査地域の確定結果はほぼ出そろった感じですが、2013年度の結果はまだ不完全なのでもう少しがん患者が増えるかもしれません。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101599.pdf
甲状腺18.jpg
 10万人当たりの甲状腺がん手術症例数を年度ごとに単純計算すると、表の右の欄の数値になります。全国平均は多めに15~24歳の罹患率の平均を選んで、同1.1人です。

 重要なことは、2011,2012年度の細胞診で「がんまたはその疑い」と診断された子どものうち90%が手術を受けたこと。2013年度もこの程度の割合まで手術を受ける子どもが増えるのではないか、と危惧されます。

 しかも昨年11月11日公表データ(第4回甲状腺検査評価部会)ですが、県立医大が行った手術54人のうち手術後の病理診断で「腫瘍径10mm以下でかつリンパ節転移、遠隔転移のないもの・・・・が3例、6%」。逆に言うと10mmを超えるがんは39例、「甲状腺外浸潤」37%(20例)、「リンパ節転移陽性」74%(40例)と報告されました。合わせて90%以上にがんが動き始めている兆候があり、これらは決して軽くない甲状腺がんです。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/90997.pdf
がん手術例.jpg
【2巡目検査】では新たに4人にがんが見つかり、合計8人に。うち手術が1人。→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101600.pdf
 
 この8人の腫瘍の平均直径は10.2ミリ。1巡目検査ではA1(嚢胞、結節なし)が5人、A2(5ミリ以下の結節など)が3人。また前回検査から2年後に受診した人が2人、3年後の検査が6人ですから、この約3年間に5ミリ以上10ミリ近く腫瘍が大きくなったということ。なお17回検討委員会(昨年12月25日)で鈴木眞一氏が、1巡目検査の画像データを再検討して「見落としはなかった」と言明しました。

 この甲状腺がん8人を、二次検査結果判定の割合を考慮、潜伏期間を3年と仮定して計算すると、発症率は10万人当たり・年間8.3人。全国平均(多めに15~24歳の罹患率の平均を選んで、同1.1人)の7.5倍です。

 手術を受けた子どものうち2巡目検査時に10歳と13歳の子がそれぞれ1人。この年代の子どもの甲状腺がん罹患率は100万人当たり・年間2人ですから、これは明らかに異変です。

【もう「スクリーニング効果」は使えないから、「過剰診断」】
 福島県立医大と環境省は今まで、甲状腺がんの異常多発を否定するために、スクリーニングで無症状の子ども全員を検査して「本来ヒトが成長してから見つかる可能性のあるがんを網羅的な検診によって早期に発見している」と説明してきました。しかしスクリーニングでがんと判定された子どものうち9割に軽くない甲状腺がんが見つかった事実は、県立医大の説明を明確に否定します。

 環境省にこの点を問い詰めると、「鈴木眞一教授が日本癌治療学会で発表した内容は、これと異なるものではないと聞いている」と回答しました。「これ」とは上の見解です。苦し紛れの言い逃れです。次の3/27交渉時にこの矛盾を突きます。

 検討委員会委員である津金昌一郎氏(国立がん研究センター)が昨年11月に、こんなことを言い始めました。

 「福島県において18歳以下の甲状腺がんが100人を超えて診断されている現状は基本的には何かの要因に基づく過剰発生が起こっているか、将来的に臨床診断されたり死に結びついたりすることがない、いわゆるがんを多数、過剰診断ですね、いずれかで考えないといけないんではないかなと。」(第4回甲状腺検査評価部会) 彼はその理由として、

 福島県の各年0歳人口と全国甲状腺がん罹患数などをもとに計算された、原発事故前の2010年段階の福島県18歳以下人口の甲状腺がん「有病者数」(18歳までに甲状腺がんと診断された事がある人数)は「2.1人」と推定される。甲状腺検査受診率が80%とすると「1.72人」だ、と言います。すると福島で100人以上に甲状腺がんが診断された事実は、この61倍の発症数となり、「スクリーニング効果・・・・・だけで解釈するにはどう考えても多すぎて困難であろう。」 そして彼は過剰診断の可能性が高いと主張します。(異常多発も完全には否定しません。)
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/91000.pdf
福島推定.jpg
 ところで61倍というのは少し大雑把な数字です。1巡目の甲状腺検査には3年かかったので、検査対象の年齢が年度ごとに19歳以下 → 21歳以下に変化します。先の有病者数データの20歳以下を選ぶと3.8人(その80%は3.04人)ですから34倍。21歳以下を選ぶと25倍。まあ異常多発であることに変わりはない。

 彼が持ち出したこの計算と比較が今までのスクリーニング効果とどう違うのか? 今は細かいことに触れませんが、本質的に同じ。ただし「チェルノブイリでは4~5年後から」と言うのでは説明にならない、潜伏期間が20年近くあることになる。

 そこで新たに異常多発を否定する理由を探して、「過剰診断」という言葉を持ち出しました。最近の流行でしょうか?
 
【どの部分が過剰診断?】
 ところで甲状腺検査のどの部分が過剰診断なのか? 医学の素人が考えるには・・・・・、

 甲状腺検査の過程は、
 一次検査(エコー)→ BC判定などで二次検査(エコー、血液検査など)
         →(以降は保険診療)→ 経過観察→ 必要に応じて細胞診→ 手術、です。

 実際にがんを判定するのは「経過観察」に移行した後です。ここで適正に診断/治療されるなら、必要ない検査・手術をして患者を苦しめる過剰診療はないはず。ところで県立医大によると、90%以上の患者に10mmを超えるがんや「甲状腺外浸潤」、「リンパ節転移陽性」が見つかった。
 
 そして甲状腺評価部会の清水一雄部会長は第4回部会(昨年11月)の中で、「104のうち58例・・・・・・・・、慎重に適応選んで手術をされていると判断したい」と述べ、県立医大の甲状腺手術の大半は診療ガイドラインに沿って適正に行われている、と認めました。(議事録を読むと、私にはわずかに疑問が残りますが。)

 一方、甲状腺評価部会で渋谷健司氏らが主張する「過剰診断」とは、がん判定/治療の場面ではなく、18歳以下の子ども全員を対象に検査する事を指します。不要な検査で県民にいらぬ負担をかけている、と。これが甲状腺検査を中止させる主張になります。

【第5回甲状腺検査評価部会(2/2)では・・・・】
 この論理が明確な提案として現れたのが第5回甲状腺評価部会でした。
 渋谷健司氏の提案
  → https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/100579.pdf
渋谷1.jpg渋谷2.jpg

 津金昌一郎氏の提案
  → https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/100580.pdf

 この部会で「甲状腺がんの治療費を公費で負担するべき」との意見で一致したと伝えられます。しかし渋谷らはその理由を「・・・・・・・・」と主張します。これは国と東電に健康被害の責任はなく、過剰診断した福島県が悪いのだから県が費用を負担せよ,という主張です。彼らもいろいろ考えますね。

 しかし県民の意見には、もっと甲状腺検査を増やしてほしいという声がずっと多いようです。
→ https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101607.pdf

 3/27の環境省請願はこの点を問う交渉になります。


3/21~22関西連続公聴会&つどいのご案内

【3/21~22関西連続公聴会&つどいのご案内】 「放射能に被曝しない権利・健康診断と医療実現のための関西連続公聴会&つどい」が開催されます。主催は「放射能健康診断100万人署名全国実行委員会」。

 詳細や各会場のチラシはこちら。 → http://hinan.jimdo.com/
 
【3/21(土)】
 堺会場  13:00~15:30 堺市東文化ホール・ギャラリー
 茨木会場 13:30~16:00 茨木クリエイトセンター

【3/22(日)】
 神戸会場 13:00~16:30 神戸勤労会館
 

【内容】
近畿の原発事故損害賠償裁判の原告(避難者)の証言
 
福島から「放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会」北村さんが被災地の放射能汚染状況を、福井から「福井県大飯原発差し止め訴訟」原告・松田さんが現地の取り組みを報告。
 
甲状腺がん異常多発や、近畿の食品の放射能汚染の実態なども報告。

 各会場の詳細や問い合わせ先は、こちらをご覧ください。【クリックして拡大】
3/21,22.jpg茨木会場.jpg堺会場.jpg神戸会場.jpg

福島県が、甲状腺がんの医療費の公費負担を決断した/3月末に、環境省に署名提出&請願行動を準備します

【福島県が、甲状腺がんの医療費の公費負担を決断した】
 福島県は、原発事故時に18歳以下の県民が甲状腺がんにかかった場合、治療の費用を公費負担することを県議会で表明しました。

 一歩前進、だと思います。健康被害の医療補償が一部実現しそうです。

 1月16日に放射能健診100万人署名運動全国実行委員会は、福島県との交渉で、甲状腺がん患者への医療費を県が負担するよう要求しました。 県は特に甲状腺がんの2巡目の検査で新たながん患者が見つかったことについて、「私たちが危機感を持っているのは『甲状腺がん疑い』が増えて、その方々に精神的ケア。もう1つは経済的ケア。何ができるか危機感を持って検討している。」「今は内容は言えない」と答えました。

 その時に予想された内容が実行されそうです。

 → http://www.minyu-net.com/news/news/0225/news8.html
【福島民友2/25】19歳以上も「治療費」補助 原発事故時に18歳以下対象
 「県は、東京電力福島第1原発事故当時18歳以下でその後に19歳以上になった県民が、県民健康調査の甲状腺検査で甲状腺がんやがんの疑いと診断された場合、がんの治療費などを国の交付金を活用して負担する。18歳以下の医療費は県が無料化しているが、19歳以上は医療保険の対象となり、無料化の対象外となるため。県は新年度早い段階で公費負担を始める方針。負担の額や期間など具体的な方法は今後検討する。
 24日の2月定例県議会で、民主・県民連合の渡部譲議員(会津若松市)の代表質問に鈴木淳一保健福祉部長が答えた。県が19歳以上の甲状腺がんの治療費を補助する方針を示したのは初めて。新年度の政府予算案に、県民健康調査の支援経費として盛り込まれた交付金を財源に充てる。」

 私が注目するのは、「原発事故当時18歳以下でその後に19歳以上になった県民が、・・・・・」の部分です。どの甲状腺がんにも医療費を県が出すのではなく、原発事故の影響を事実上認めました。

 また県は先の交渉時に、「国に医療費負担を強く要求している」とも言いました。本来は国が加害責任をとるべき事です。 

 一方、大きな問題があります。上の報道では、「県民健康調査の甲状腺検査で甲状腺がんやがんの疑いと診断された場合、がんの治療費などを国の交付金を活用して負担する」とされ、県は県民健康調査を受けない人には、甲状腺がんに罹っても医療補償をしないようです。県民健康調査の枠組みをあくまで守りたいのでしょう。

 もう一つ。県は明示的に「原発事故の影響」「因果関係」を認めてはいません。先の交渉で県は「原発事故がなかったらする必要がなかった甲状腺検査、手術だ」と言いました。これは二つの意味に解釈されます。

 放射能被ばくの影響で甲状腺がんになった。その因果関係を認めて、本来は東京電力と国がするべき医療補償を県が当面肩代わりする。

 放射能事故で始めた「県民健康調査」は過剰診療だった。本来不必要な手術までしてしまったから、その責任をとって県が医療費を負担する。

 福島の「県民健康調査検討委員会」の下にある「甲状腺検査評価部会」で今年2月2日、渋谷健司委員が「今回の調査が無ければ、必要の無かった診療がなされている可能性が高く、医療費は保険診療ではなく、検診の枠内で補償されるべき」と文書で提案しました。過剰診断が原因。あくまで放射能の影響を認めない。これだと責任は、東電でも国でもなく福島県内で完結します。

 
【環境省の放射能健康対策「当面の施策の方向性」が決定された】
 2月27日、環境省が放射能の健康管理について「当面の施策の方向性」と、それに対して寄せられたパブリックコメントのまとめを公表しました。

 「当面の施策の方向性」→ http://www.env.go.jp/press/files/jp/26325.pdf

 「寄せられた意見」→ http://www.env.go.jp/press/files/jp/26324.pdf

 2/28朝日新聞に「環境省が近隣県のがん、その他の疾病の増加を調査する」と報道されましたが、環境省が自ら調査するのではありません。統計的有意差が現れないように調査結果をまとめるだけです。(これは操作可能です。)

 「当面の施策の方向性」は、国は何もしない、責任をとらない、という点で今までと全く変わりません。甲状腺がんの医療補償は福島県にやらせておけ、です。

 しかしこの2ヶ月で状況は大きく変わりました。2月12日の甲状腺検査の公表データでは、

 前回から3年後の2巡目の検査で、8人に甲状腺がんが見つかりました。その腫瘍の直径は6ミリ~17ミリ、平均10ミリ。1巡目検査ではみんな5ミリ以下だったはずですから、この2~3年で平均5ミリ以上大きくなったことになります。

 その8人のうち検査時の年齢が10歳と13歳の子が1人ずつ。
 国立がんセンターの甲状腺がん統計で10~14歳の甲状腺がん発症は、1999年~2008年では全国平均10万人当たり年間0.2人です(100万人に2人)。私の粗い計算では、全国平均の19倍の頻度。
 また1巡目の検査では109人の甲状腺がん患者のうち10歳以下の患者が1人、13歳以下が12人でしたから、2巡目の検査では、より低年齢にがんが多発する可能性が見え、危惧されます。

 福島県も、これらの点に危機感を持ったのかもしれません。

 少し残念なことがあります。パブリックコメントに応募した件数が968。同じ時期の高浜原発の再稼働に関わるパブリックコメントの1/4、昨年の川内原発や一昨年の「被災者支援法の基本方針」のそれと比べると大幅に少ない。

 反原発運動の中に原発事故の被ばく者・被災者の問題が座っていないのか?と心配になります。膨大なページ数の再稼働の審査書に比べたら、今回の「当面の施策の方向性」はほんの数ページ。すぐに読めるのに意見の件数が少ないのは、この問題の重要性の認識が運動の中に広がっていないことの反映と見るしかありません。

 放射能健診署名運動で、健康被害と健康不安が問題なのだと訴えましょう。

【3月末に、環境省に署名提出&請願行動を準備します】
 詳しい時刻、場所は改めてお知らせします。


人質と囚人の交換を期待したが・・・

【人質と囚人の交換を期待したが・・・・】
 人質事件が最も悪い結果となりました。

 私は「ヨルダンに日本人人質と囚人の交換を頼み込め。その代わりにヨルダンに補償金を払え」と安倍内閣に要求しました。 ヨルダンが途中までその方向に動き、期待しましたがダメでした。

 昨年8月に「民間軍事会社」の人質が捕まってから6か月間の国と最高責任者・安倍の動きを見て、幾つか思ったこと。

 私の結論・要求は、日本はイスラム国と取引し、人質を取り戻すこと。そしてイスラエル、エジプト、イラクなどへの一切の援助を取りやめること。戦争と占領の資金を「人道支援だ」とうそを言って中東に送り続けることが、米軍の占領政策を支え、民衆の犠牲を増やします。

【安倍は失態を演じた】
 安倍は人質事件をネタにして、集団的自衛権のための法律を国会で一気に通る賭けに出るでしょう。最近は憲法改正の日程の願望まで言い出しました。

 しかし願望と現実は、多くの場合一致しません。安倍は失態を演じました。人質事件は世論にどう映ったのか?

 安倍がずいぶん頼りにするネット世論は「自己責任」の大合唱だったそうです。でも安倍は自己責任という言葉を使いません。自己責任と叫んだら、邦人救出をネタに集団的自衛権法案を通す上で妨害になります。(本当は安倍も、自己責任だ、と叫びたかったでしょうが。)

 その意味で、ネット世論は安倍の願望より遅れていて、安倍の追い風になりまぜんでした。どっちも質は良くないですが。

 ジャーナリストの人質を救えという世論は、後藤さんの実績・渡航目的などの報道で、かなり大きくなったように思います。朝日新聞はじめマスコミは後藤さんの母親も大きく取り上げ、後藤さんを勇気あるジャーナリスト・子どもに優しい人道家と描きました。朝日新聞には武力・挑発でなく非軍事での解決を求める読者の声が溢れました。安倍政権にさんざん叩かれた朝日の反撃かな?と思ったくらいです。それが可能なくらいの世論はありました。

 安倍のエジプトでの演説と比較する時、安倍がいかに無知、または無関心、または無頓着であったか、浮かび上がります。

 「ISILと闘う周辺各国に総額で2億ドル程度、支援を約束する。」

 安倍は、アメリカと軍事協力下にあるイスラエルやエジプト・ヨルダン歴訪で調子に乗ってイスラム国ISILと戦いたい気分に満たされて、これらの言葉を選んだと思います。ここには「人道支援」という文言は一言ともありません。人質が大問題になってから急に言い訳に使い出した言葉です。

 安倍の大失態。 過失?それとも挑発?

 国会で共産党の小池議員に、この演説が人質に与えた影響の認識を問い詰められた安倍は、答えることができず、慌てふためいて回答を拒否しました。一番痛い点を突かれたから。安倍も世論がそこに注目していると感じています。この場面はテレビにも何度か放映されたそうです。

 ISILは2億ドルの身代金を要求しました。これは安倍がエジプトで発表したISILと闘う周辺各国に約束した「2億ドルの支援」と同じ金額。まさに安倍の演説を利用して、挑発してきたのです。

 また民主党の福山議員に、この演説原稿を作った過程を問われた外務省は答えられず、安倍が「私の責任で作った」旨を答えました。

【外交努力も能力も皆無】
 安倍の弱点は、自力の外交交渉をできず、国内世論にも押されて、ヨルダンに全てを預ける以外に手がなかったことです。

 ISILとの交渉チャンネルもなく、人質問題が大きく取り上げられてから慌てて動き出して、結局何もできなかった。その上で、もし人質が解放されていたら・・・・・。

 ヨルダンは人質の交換に動きました。実際には、ヨルダンの人質はすでに殺されていたので交換は成りませんでしたが、もし人質交換で後藤さんが解放されていたら、日本は安倍が言う「テロに屈しない」とは逆に、イスラム国との交渉に乗って「ギブ&テイク」という形になります。安倍は自ら、米英との堅い反テロ有志連動を壊すはめに陥ったかもしれません。

 人質解放に失敗した安倍は、自分の責任を回避したくて「罪を償わせる」「日本人に指一本触れさせない」と叫んでいます。それで集団的自衛権法案を強行するのか?

【あらゆる援助、「人道支援」にも反対】
 複雑な中東の政治・軍事事態を解決するためには、イスラエル、イラク、エジプトなど各国政府への一切の援助を止める事です。これらの国では、あらゆる援助は武器弾薬、軍事関連施設、戦闘員の給料と賄賂に化けます。

 アフガニスタンが良い例です。日本からの4500億円は、例えば警察軍の設立と訓練費。インフラ整備、開発支援とは、専ら米軍と米軍の現地請負運輸業者と軍閥が使う高速道路(「リング道路」)の建設など。「人道支援」も米軍占領下の地域で米軍の「人心掌握作戦」の一環として学校、病院建設に使われました。

 政府のヒモ付きNGOも同じ役割を果たします。

 人道支援もダメ?  ダメです。政府・外務省が人道支援など本気でするはずがありません。これは、アフガニスタンへの軍事援助に抗議して外務省の中東関連の課と何度も交渉して、私が実感したことです。彼らは平然とウソをつき、シラを切ります。環境省よりもたちが悪い。

 政府が中東に執心なのは、ISILが迫るイラクの油田地帯には日本企業も進出していて、それがISILに取られたらたまらない、と思った経営者が政府の周りに一杯いるから。

 自社の海外財産くらい自社で処理しろ。それこそ自己責任です。そんな物のために戦争を起こして現地の民衆の命を犠牲にするな。 日本の軍隊と兵隊を使うな。

 政府間のあらゆる金と武器の流れを止める事が、戦闘・テロを止める近道です。そして集団的自衛権法案とともに安倍政権を葬ることが、全く可能な情勢です。
 
   

【傭兵・民間軍事会社】
 ところで人質問題が大きく動き出したのは、後藤さんの救出の段階になってからでした。もう1人の人質は昨年8月から捕まっていたのに、国はほぼ何もしなかった。

 理由は、彼が民間軍事会社の売り込みに渡航したこと。これでは、集団的自衛権を解禁したばかりの政府は動けなかったでしょう。 ~ 民間軍事会社を自衛隊が救出する、なんて事が邦人救出の第1号となったら、安倍にとって大変な失態になります。

 傭兵は、ジュネーブ条約など戦時国際法では最も卑しい人間とされ、戦争中の保護の対象にされません。~ 戦争を自ら引き起こす連中には、市民や正規兵、ゲリラ兵らと同等の権利を与えない。

 民間軍事会社も似たような物。これが前面に出ると安倍の願望が邪魔されるから、放置したのではないか。そう思っています。

1/16 福島県交渉&署名行動 ~ 因果関係の有無に関わらず、県独自の医療対策を要求

【1/16 福島県交渉&署名行動 ~ 因果関係の有無に関わらず、県独自の医療対策を要求】
 1月16日に福島県へ放射能健診の申し入れを行い、福島駅前署名と集会を取り組みました。

 福島県交渉には県から県民健康調査課の課長ら3人が出席。私たちは19人が参加しました。年末に甲状腺がんの新たな情報が公開され、また環境省が放射能健診と医療補償を否定する「当面の施策の方向」を発表した中で、長時間に交渉となりました。以下、長いですが要約です。

【福島県への要求と回答】
私たちの要求は、甲状腺がん患者が112人に達したことを踏まえて、

 「因果関係の有無にかかわらず、

1.甲状腺検診の対象者を、希望する全県民に広げる事。

2.上記検診対象者が甲状腺疾病に罹患した場合、医療費を無償化すること。

3.甲状腺以外の臓器・器官の健康診断を、健診を希望する原発事故当時および現在の県内住民を対象 に、無償で行うこと。

4.上記健診は、住民が希望する医療機関で受診できる制度として作ること。

5.原発事故当時および現在の県内住民を対象に健康手帳交付すること。」

県の回答は、
・甲状腺がん多発の評価:
 自覚症状のない層全体を対象とする検査と、病気で受診に来る人の統計を比較することは適切でない。
 
・甲状腺検査の対象拡大について:
 チェルノブイリでは15歳以上には発生が少ないから、18歳まで検診すれば十分。

・甲状腺がん患者への医療補償について:
 国に要請している。

・甲状腺以外の検診について:
 全県民が特定健診など健康診断の機会を持つようにした。(放射能健診ではない。)

・検診データは受診者本人の物という原則の確認。山下俊一のデータ流用について:
 検診データは県が所有。本人には簡単な手続きで開示(新制度後、約500件の申請、合計で約700)。山下氏のデータ使用は、県と医大の委託契約の範囲。

【交渉の中で】
 私たちは、「県民健康調査」の枠組みに換わる新たな健診制度や、甲状腺がん患者への医療費無償化を強く要求しました。

(県)どういう方向が良いのか、今後の検討委員会で検討される。検査項目を増やすことに反対の意見もある。

 
(実)4年経って子どものがんが明らかに増えている。原因の追究も大事だが、健康被害が起きているならまず適切な医療、拡大防止。新たにA判定の人から4人のがん。医療に結びつく健診が必要。県はこの結果をどう考えている?

 
(県)1巡目の検査ではスクリーニング効果で出たという意見が強い。ただし2巡目に新たに4人出たことは検討委員会でもいろいろあった。まだ4人でわかりにくい。今後も見ていく。

 
(実)手術例84例、転移もあり重篤。それを、大人になったら発見されるがんだから心配いらないと言うが、手術例の数自体がすごいではないか。

 
(県)評価部会では「過剰診断」という話もあり、手術をやった先生方の意見と食い違ったが、ガイドラインに基づいた手術である。手術が増えたのは母数が増えたから。率は同じ。

 
(実)それを前提にしても、数はもっと増える。だったら全県民をカバーする健診体制を作るのが行政の仕事。16~18歳にがんが多い、ということは19歳以上にはもっと多い。

 
(県)甲状腺検査できる「認定医」を増やす努力をしている。

 
(実)県民健康調査の枠内の話ではない。年齢・検査項目、治療を見通した健診。現実に健康被害が出て、がんの数が増えてる。どうするのか?

 
(県)県民健康調査の中で改善するべき事は、当然改善したいと思っている。

【「何ができるか危機感を持って検討しているが、今は言えない」(福島県)】
(実)甲状腺手術した人の治療費はどうなるのか?

 
(県)自己負担してもらっているが、「原発事故がなければやらなくて済んだこと」であり、国に強く働きかけている。

 
(実)先ず県が負担したらいい。県がやって、後で国に請求したら良い。

 
(県)私たちが危機感を持っているのは「甲状腺がん疑い」が増えて、その方々に精神的ケア。もう1つは経済的ケア。何ができるか危機感を持って検討している

 
(実)それなら最初に県が無償でその人たちの医療費を払って、東電に請求したら良い。

 
(県)放射線の影響というのではなくて、事故があって(被害の)可能性があるから、今やっている。因果関係がないとは言わないが、現時点で「考えにくい」と言っている。

 
(実)県が金を出して医療行為に入ることはできないのか?「検討している」と言ったが、内容を聞かせてほしい。健康手帳の配布も。

 
(県)今の段階では言えない・・・・。手帳のことは、それがあればどこでも無料で健診・医療となると、法的・制度的なことが出てくる、県だけではできない。

 
(実)原爆被爆援護法も自治体が先に作った。福島県も甲状腺手術を受けた人に手帳を作ったら良い。原因が特定できたら国、東電に請求したら良い。行政も検討しているのではないか?

 
(県)・・・・今は何も言えない。子ども支援法13条(医療補償)を国はやってない。それと同じ

 
(実)だから県も何もしないの?県がやったら子ども支援法に基づいて、ということにできる。環境省の専門家会議も13条に基づいてのはずが、全く位置づけが変わってしまった。

 
(県)「中間とりまとめ」では県民健康調査を評価して頂いた。甲状腺調査の充実を国から支援。何かというと、2次検査以降のデータは今は病院のもので、がんの被ばく影響調査には2次検査以降のデータも必要だが、仕組みとしてそうなってない。その点を国からの支援。

 
【「県は専門家の意見を聴いて判断する。」「それでは時間が延びるばかりだ。」】
(実)中間とりまとめは、甲状腺対象者を19歳以上にも拡大しなさいとは全く言ってない。経済的ケアも何も言ってない。県の要求を国は無視した。福島県も怒って良いのではないか?

 
(県)確かに環境省の会議は、ほとんどが線量関係の評価。昨年夏からヒアリングに呼ばれたが、県民健康調査、一番肝心な健康についてほとんど議論されなかったと、私も思う。

 
(実)国には正式に要求を出したのか?どんな内容で?

 
(県)正式に9月上旬に環境省に要求。甲状腺検査の2次検査以降の費用(経過観察、手術など)は保険診療で自己負担だが、国が責任を持って費用を出すように。

 
(実)国は医療のサポートはしない。先の検討委員会でも「環境省は環境省、県は県」となった。

 
(県)県としては専門家の意見を聴いて判断したい。過剰診断で良いのか、という意見もある。

 
(実)検討委員会は3ヶ月に1回。それでは時間が延びるばかり。子ども達は益々がんにかかりやすい年齢になる。ある段階で1回でも18歳以上を検査する、希望する人はみんな来てください、とやってほしい。
  もう1つ、県民の多くの声は「県立医大の制度では受けたくない。」 ちゃんとその場でエコー写真を渡してほしい。セカンドオピニオンを受けられるように。
  福島では健診をやり過ぎて害が出ることはない。異常なければ安心する。異常が見つかっても医療を補償してくれれば安心感もできる。18歳以上でも甲状腺がんの心配は大きい。

 
(県)データ開示の手続きは簡素化した。

 
(実)それでも簡素化してから500件。まだまだ有効になってない。

 
(実)19歳以上の健診、甲状腺がんだけで良いのか、という問題も。

 
(県)意見として承るが、専門家の意見を聴いて検討委員会で判断した。今後は18才以下で良いのかどうか、事故以降生まれた方はどうか、など検討する。

 
(実)県民健康調査の拡充を要求していない。県民の健康を守る事業は何か検討しているのでしょう?それとも県民健康調査と保険診療だけで良いのか?国を待っていると、国は見捨てますよ。県が県民の目線で現実に向き合うしかない。

 
(県)私からそれに回答できない。

 
(実)国は県の要求に何と言ったのか?いつまでに回答すると?

 
(県)それも言えない。

 
(実)それなら福島としてできる事はあるだろう。通常がん検診の中に甲状腺検査を入れるとか。

 
(県)課が違うので、それに答える立場にない。いろいろ意見があり難しい。2次検査以降の医療費負担を昨年9月に国に要望した。県議会では「環境省の専門家会議で議論するべき。その推移を注視したい」と答弁。中間とりまとめが出て2・3月議会で質問が出たら、我々が答弁を考える。健康手帳はその目的が問題。制度を伴うから簡単にできない。放射線の影響が判らない中でどこまでやるか、だ。

ここで午前中の福島駅前の署名を紹介。1時間半で140筆。その時に聞いた「検討検討、と言っている間に何もしていない。おかしい」などの声を伝えました。

 
(実)手術した方の精神、経済的ケアと言うが、その方々の要望など県が直に要望をきいたか?

 
(県)それはない。県立医大の中に相談部署を作った。

 
(実)先にも訊いたが、薬代、受診費は県が検討中といいことか?県がやるべきではないか?

 
(県)県として、というより第一義的には国。県も検討している。 

 
(実)何を?2次検査以降の医療を県独自でやることを検討しているということか?

 
(県)そこまでは言えない。県はどのようにすべきか、を検討している。遠くない時期に・・・。

 
(実)チュルノブイリ法は福島の今の時期に作られた。今でないと。

【「検診データは本人の物」の原則確認を要求。「検討する」(福島県)】
 「検診データは県が所有」という回答は、県民健康調査の性質を如実に表現しています。私たちは、検診データは受診者本人の物であるとの原則の確認を迫りました。

 
(県)データの所有は県だが、個人のデータは個人の物なので、請求があれば。

 
(実)個人の物ならその場で渡すのはできないか?データの所有が県というのはおかしい。手続き簡素化しても500人しか申請していない。県民の不信感の源。大阪では普通にその場で渡している。第1、山下は受診者本人の了解を得てエコー写真を公表したのか? 

 
(県)「個人データの無条件返却について検討する。その場で、というのは難しい点があるが。」

【駅前署名は193筆。県民の様々な声を聞きました】
 今回の交渉は「県民健康調査」に換わる医療対策を要求する事を主眼に置きました。福島県も放射能の影響とは言わないものの、がんの多発を無視できず、県民の怒り・要求との矛盾に直面していることが判りました。しかし今も県民健康調査の枠に固執する様子です。県内の運動の時期です。

     IMG_0579 2.jpgIMG_0550 2.jpg
 交渉の前後の時間帯に福島駅前で「どこでも誰でも放射能健診署名」を取り組み、193筆が寄せられました。県民の声と要求を直接に感じられたことが、このたびの行動の一番の成果でした。次は2月8日「放射能から健康を守るつどい」を開催します。

【署名行動での反応】
・ 3歳半の子がいる。5分間の検診はじっとしていないから受けられない。友達の子どもも受診に行って暴れて受けられなかった。本当は受けておきたい。放射能のことはお母さん同士では話する。

・ 上の14歳と9歳の子は受けた。1回目は大丈夫、2回目は去年A2、嚢胞が見られるとのこと。1歳の子は震災後なので案内来ない。放射能のことは家族では話する。県に対しては、原発とガンの関係の本当のことを教えて欲しい。震災直後は埼玉に避難していたが、子供がお父さんと離れるのはイヤで帰りたいといったので家族と一緒にいることをうちは選んだ。避難している友人もいる。

・ 世界が注目しているのだからオリンピックどころじゃない。汚染水も何とかしてほしい。

・(女子学生) 将来のこと考えると子供産めるかどうか・・・・。検査2回目するはずだが、仙台に下宿していて、実家にハガキが来てるとは思うが見ていない。原発はなくなって欲しい。

・ 検診は年だし受けていない。市長に声は届かない。放射能にも慣れっこになっている。    以上です。


渡邊清次郎さん

【渡邊清次郎さん】
 今日、「しんぶん赤旗」で渡邊清次郎さんがなくなったことを知りました。79歳でした。もと東京争議団共闘会議の議長。

 私は昔、たぶん一度、直接に話(講演)を聴いたことがあります。

 私は自分自身が20~30代に企業内の労働組合運動から視野を飛躍させる上で、首切り・倒産と闘う東京争議団運動と東京総行動に参加した経験が、本質的に作用していると思っています。

 東京争議団を作り、労働争議の勝利の方程式を作り出す上で、その議長を務めた渡邊さんの貢献はとても大きかったと思います。

 『少数の被解雇者、たとえ1人であっても、東京争議団のように闘えば必ず勝てる。労働組合がないような企業でも、東京争議団のように闘えば必ず勝てる。』

 実際に東京争議団の運動で勝って職場復帰を果たした事例を幾つも経験して、こんな自信が、空気や水のように私の心に滲みていました。

 今、自分で裁判闘争を闘い、また支援する上で、この東京争議団の経験が私の中に生きています。特に「三つの必要条件」。

【「三つの必要条件」】
・要求を具体的に明らかにすること。

・情勢を明らかにすること。

・敵を明らかにすること。

 簡単なようで、心しないと絶えず動揺する3つの命題です。

 要求は、裁判では原告団の団結の基であるとともに、支援を拡大する上で社会性、社会的意義を体現する必要があり、明確で、ぶれない事が重要です。運動・裁判闘争の核心です。(これが揺らいだために低水準の解決で終わった裁判闘争を、幾度か目にしました。)

 いま私が関与する労働裁判や、放射能被ばく・健康被害に関連する裁判・闘いを進める上でも、当事者の要求を確信にするための行動経験や、要求自体の社会性~「放射能被ばくを許さない」~を拡大する事を指針にしていきたい。

 ご冥福をお祈りいたします。

裁判にとって見過ごせない環境省「中間とりまとめ」~パブリックコメントに意見を集中しましょう

【裁判にとって見過ごせない環境省「中間とりまとめ」~パブリックコメントに意見を集中しましょう】
 再度、環境省パブリックコメント(締め切り1/21)に意見を集中するよう提案します。拡散してください。

 今回の基になる環境省専門家会議の「中間とりまとめ」には、各地の損害賠償裁判にとって見過ごせない記述があります。
→ http://www.env.go.jp/press/files/jp/25691.pdf

 内容は市民の常識からずいぶんずれていますが、これを批判するパブリックコメントが少ないと、国は「この内容が国民に受け入れられた」と主張します。裁判長の判断に影響しかねません。

 とくに下の2点は、自主避難区域と県外の避難者にとって、避難の正当性の否定に直結します。

 パブリックコメントは集計され、開示されます。(原発被災者支援法の際にも公表されました。)世論の批判の実績を作るためにも、意見を集中しましょう。
→ http://www.env.go.jp/press/100098.html

【「中間とりまとめ」の問題点】
①「予想される健康リスク」の項(「中間とりまとめ」p.22)
 福島県でも100ミリシーベルトを超える被ばくは考えられないから、

・(甲状腺がん以外の)「福島県及び福島近隣県においてがんの罹患率に統計的有意差をもって変化が検出できる可能性は低い

・「放射線被ばくにより遺伝性影響の増加が識別されるとは予想されない

・「住民の被ばく線量に鑑みると、不妊、胎児への影響のほか、心血管疾患、白内障を含む確定的影響(組織反応)が今後増加することも予想されない。」

 結論として、福島でも近隣県でも放射能による健康被害はほとんど検出できない程度、と断定します。

②甲状腺がんの項(「中間とりまとめ」のp.29~31)
・甲状腺がんは、「原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない。

・その上で、福島県では今の甲状腺検査で十分と主張。(もっと減らせ、とも言っています。)

・福島県外では「まずは福島県の県民健康調査「甲状腺検査」の状況を見守る必要がある」と言って、住民の不安を減らせば良い、と主張します。

 締め切りに遅れないよう、パブリックコメントに応募しましょう。私はこう書きました。
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川内・高浜原発の再稼働を企てる地元知事に、内容証明郵便で「損害賠償請求の予告」を送りましょう/内容証明郵便の効力は・・・・

【川内・高浜原発の再稼働を企てる地元知事に、内容証明郵便で「損害賠償請求の予告」を送りましょう】
 前双葉町長・井戸川克隆さんから教えてもらった内容証明郵便の使い方。

 私は伊藤祐一郎・鹿児島県知事あてに、「損害賠償の予告」を送りました。 ”川内原発の事故を防止する能力もないくせに再稼働を企てるなら、事故の際には損害賠償を鹿児島県と伊藤氏自身に請求する“、という旨を書きました。

 高浜原発に関わって、同じ内容を西川一誠・福井県知事に書いて送ります。その際には、「高浜原発の放射能は北風にのって近畿を直撃する」と書きます。
【内容証明郵便の効力は・・・・・】
 これがどんな力になるか? と考えました。

裁判の証拠、または宣言し、裁判上の権利請求の根拠を補強する。~もし事故が起きて生命・財産の被害を受けたら、損害賠償請求は当然ですが、予めその可能性を指摘した事実を積み上げます。また、集団訴訟の基礎を作ります。

再稼働の前に損害賠償を宣言し、県と知事個人の責任を指摘することが、再稼働への抵抗の力になる。

何より大きな点は、私と鹿児島県知事が対等の立場になる、ということです。裁判では原告と被告は同権。知事の政治的・組織的権力は働きません。憲法の下で県知事と対等に損害賠償を争う権利を行使する、と宣言することです。

【鹿児島県知事に送った内容証明郵便の本文】↓ クリックして拡大
  川内内容証明.jpg
【内容証明郵便を送る際の注意】
郵便局の窓口で、封筒の宛名と本文の宛名は完全に一致しないといけない、と言われた。

料金は、1000円以内で送れました。

本文は、縦書きの場合は20字×26行以内に納めないと、2ページ目に入り、郵送料金が2倍近くになる。

窓口では、「本文に余白を残しておかないと、印鑑が押せない」と言われるので注意。少し大きめの紙に書くのが良いです。

 詳しいことは郵便局のHPを見てください。

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