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【国際環境疫学会が環境省と福島県に「忠告」と「提案」】

【国際環境疫学会が環境省と福島県に「忠告」と「提案」】  最近の毎日新聞の記事で、「国際環境疫学会(ISEE)の会長」が津田教授の論文を受けて、環境省(丸川環境大臣、北島・環境保健部長)と福島県(県民健康管理課・小林課長)宛てに書簡を送っていたことを知りました。今年の1月です。

 さっそくその書簡を読んで見ました。
→ http://www.iseepi.org/documents/Fukushimaletter.pdf

要点は、
・国際的な環境疫学の専門家の最大組織であるISEEは、福島県の住民の甲状腺がんのリスクが従来の予想よりずっと高いと示す証拠に関心を持っている。

・津田教授の研究は、福島住民の甲状腺がんのリスクが他地域の日本の住民と比較して概ね12倍であり、特異な高さであることを示す。

・この研究は、継続的で系統的なスクリーニング調査を被災者集団に実施し、甲状腺がんの早期発見と治療を可能とする事が必要と主張する。

・そこでISEEは、日本政府が福島の住民の健康を記録し追跡調査する方法を作ること、そして原発事故にリスクのより正確な理解と推定を図ることを提案する。環境に残留する放射能による集団被ばく量の詳細な監視が科学的また予防的な見地から、今も必要だと確信している。

・ISEEは日本政府を助力する用意がある。日本政府が我々の関与についてどう考えるか知りたい。返事を期待する。

 毎日新聞によると、この提案に対して環境省はまだ返事をしていないようです。大臣はどう応えて良いか判らず、困っているでしょう。

 福島県にもこの堤案は届いています。どう返事をするのか、県との交渉の際に直接聞いてみたいです。

【福島県に要請書】
 放射能健診署名実行委員会・福島が、上記の問題もふくめて福島県に要請書を提出しました。請願交渉を求めています。

 私も交渉に参加したいです。
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福島原発事故で東京から避難した河野康弘さんの体験を聴きます

【福島原発事故で東京から避難した河野康弘さんの体験を聴きます】
4/9「原発・放射能事故の避難者のお話&ピアノの会」

月9日【日】13時~16時  エルおおさか 「プチ・エル」【大阪地下鉄/京阪「天満橋」より5分)
 会場でカンパをお願いします。

 河野康弘さんは2012年2月に東京から近畿へ避難しました。「お話会」では、事故から1年の間に河野さんが東京で体験したことを話してもらいます。

 私たちは昨年2回,福島を訪問して県民の方々から話を聴きました。目の病気、皮膚の病気、関節の異変などいくつかの共通の病変を多くの人たちが訴えました。                

 私たちはこれが決して偶然ではない、健康被害が起きている、と感じました。もはや「甲状腺がん」だけが問題ではありません。「お話&ピアノの会」では、私たちが福島で見て聴いたこともお伝えします。
   49.jpgクリックして拡大。

【プログラム】  ・河野康弘さんのお話  ・報告と映像 「福島を訪問して」  ・質疑・交流  ・ピアノ演奏(河野康弘さん) 

【河野康弘さん】  ジャズピアニスト。
 ジャズピアニスト。矢沢永吉バンド、中村雅俊バンドをなどで活躍。
 1991年湾岸戦争を契機に、組曲四万十川を作曲、自然保護、平和のための活動を開始。
 2012年東京を離れ京都に移住し、平和 核のない世界のために活動。
 森林を伐採して製造されたビアノが450万台も眠っているのを知り、ビアノの再利用活動に取り組み、
 これまで日本各地や世界に270台以上を届ける。

~~~放射能健康診断100万人署名運動~~~
 私たちは,希望する全ての人が国と東京電力の責任で、放射能健診を医療を受けられる制度を作るよう求めて100万人の署名運動を取り組んでいます。福島、関東や全国で、放射能の健康被害を心配する人が自由に「放射能はイヤだ」と声を出せて、医療を求められる社会にしましょう。
 
 放射能健康診断100万人署名運動関西実行委員会 (連絡先:小山 070-5653-7886  nobiscum@wb4.so-net.ne.jp)  
 全交関電前プロジェクト (秋野 090-1588-6351  e0809akino@yahoo.co.jp)

2/15に公表された福島県民健康調査の結果/食品の放射能検査~「プロメテウスの罠」で改めて知ったこと

【2/15に公表された福島県民健康調査の結果】
 今回の公表結果を巡っても、「本格検査で新たに甲状腺がん(疑い含む)が12人増えて51人に。」「合計で167人に」など報道されています。福島県も,原因は別として全国に比べて「数十倍のオーダーで多い甲状腺がんが発見されている」と認めました。

 昨日(2/16),さっそくNHKが深夜のニュース解説でこの点を、「放射能の影響とは考えにくい」とする福島県の主張を繰り返して宣伝しましたが、それでも結論は「放射能の影響はないとは言い切れない」でした。

 ところで「本格検査」(二巡目検査)が始まってから気がついたことを2回ほど書きましたが、今回も傾向(そして疑念)が変わっていないことを紹介します。

【やはり検査を絞っているのか?】
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①「先行検査」(一巡目)に比べて「本格検査」(二巡目)のH26年度では、「通常診療等」への移行者のうち「細胞診」受診者の割合が半減しました(39.7%→20.3%)。

②一方でこの時期の「二次検査対象者」(B,C判定者に相当)の割合は0.8~0.9%であまり変わりません。また「二次検査対象者」のうちの「通常診療等移行者」の割合はほぼ同じか、少し上がっています。

 つまり「本格検査」の一次のスクリーニング検査は以前の「先行検査」の時と同程度かより正確にB,C判定を出しているのに、「細胞診受診」の段階で急にバードルが高くなって、受診者が制限されたのです。
 
③また「細胞診受診者」のうちの「がんまたはがん疑い」の人の割合が1.5倍に上がりました(21.6%→32.5%)。

 これも細胞診の受診者数を制限しているために起こった現象だという強い疑いを持ちます。

 (なお「先行検査」の確定報告が出された2015年6月30日の後に新たに3人の「がんおよびがん疑い」の人が発見されて116人に、また手術してがんと診断された人は2人増えて100人になった旨が、口頭で報告されました。上表の「先行検査」はこの点を反映させました。)

 27年度の結果がまだ3割しか判明していない段階なので,今後若干の変動はあるでしょうが、私はやはり、福島県と県立医大が、結果として甲状腺がんの患者数を少な目にする診断基準の変更をした、と思います。これは環境省や「専門家会議」が「過剰診断」の合唱をしたためです。

【それでもがんの多発は隠せない】
 今回の「本格調査」の公表結果でも、先行検査では甲状腺がんでなかった51人に新たに甲状腺がんが見つかり、10万人中23人、異常に高い発見率です。2次検査や通常診療が進めばさらに増えるかもしれません。

 51人の甲状腺がんは直近の2年間に発生したものと考えるのが、最も考えやすい。健康調査検討委員会では、先行検査の時に見つからなかった甲状腺がんが大きくなって発見された、という根拠のない議論まで持ち出して放射能の影響を否定しますが、それこそ「考えにくい。」

 私は、甲状がん以外の健康被害がすでに表面化していることを、昨年の福島訪問で確信しました。これを国に認めさせるのが運動の次のテーマです。

【食品の放射能検査~「プロメテウスの罠」で改めて知ったこと】 朝日新聞の「プロメテウスの罠」が今年1月に「食わんで結構」のタイトルの特集をしました。その中で福島県産の米の出荷先などが紹介されました。要約すると、

・福島県産米の生産量は県民の消費量の3倍。

・出荷先は関東の比率が増えている。

・価格は会津産米など一部を除き事故前より下落し、ブレンド米や「外食」「中食」にまわされる量が増えている。

 おいしいし安全なのに買ってくれないから素顔を隠す「覆面レスラー」のようだ、と書かれていますが、この記事は私や多くの人が危惧している汚染色品の全国流通を裏づけました。

 「プロメテウスの罠」では福島の食材は放射能検査をされている、と強調されます。問題はその検出力。私が福島に行って聴いたのは、民間の放射能測定所では7Bq/kg、行政の調査で20Bq/kg。

 福島の食材だけではなく、近隣県も含めての問題です。

 同じ時期に朝日新聞デジタル(http://www.asahi.com/articles/ASJ2364NLJ23OIPE03L.html)に「格安弁当にはワケがある 「卸に出どころ聞かぬルール」」というタイトルの記事が出ており、廃棄カツ横流し問題の背景に、弁当業界は少しでも安い食材を求めて必死になっている事が報道されました。
 
 この2つを読んで、ますます外食・加工食品の放射能を調べる必要を感じました。

1/16 高浜原発再稼動ヤメロ 緊急デモ

【1/16 高浜原発再稼動ヤメロ 緊急デモ】

★2016. 1. 16 (土) 13:30~集会、14:00~デモ(中之島公園水上ステージ→関電前→西梅田公園)
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 昨年12月24日に福井地裁は、差し止め判決を覆した。福井県知事、高浜町長の同意だけで、今、関西電力は高浜原発を再稼働させようとしている。

 福島原発事故は、収束のめどさえたっていない。福島では放射能被害による小児甲状腺がん152人、心筋梗塞などの病も多数発症している。年間20ミリシーベルトでも帰還させる(法令の許容基準は1ミリシーベルト以下)安倍政権は、事故が起こることを前提に再稼働を推し進めているのだ。

 30キロ圏内の自治体は、避難計画に実効性をともなわないことを認めている。いま原発事故があると、被ばくせずに避難することは無理なのである。

 高浜原発3号機は 、海外では運転を取りやめた危ないプルサーマル運転だ。事故がおこれば、日本は壊滅的な被害を受けることになる。こんな原発とはもう決別しかない。わたしたちは政府、関西電力に対し、「高浜原発の再稼働を今すぐやめろ!」「原発に依存しない経営に転換せよ!」と強く訴える。

 命を守れるのはわたしたち自身だ。いま、行動するときである。「すべての原発を廃炉に!」と、声をあげましょう!1月16日デモに参加してください。

<原発をとめるための行動に参加してください>●毎週金曜日、関西電力本店前(肥後橋駅、渡辺橋駅)星空交流会19:00~20:30に参加しよう!
●1/17反原発交流会/13時~LAGセンター京橋10分
●放射能健康診断要求100万人署名を集めよう
3月署名提出、環境省、厚労省要請中央行動
●1月関西広域連合、京都府へ要請(日程調整中)
●2月高浜・伊方原発30キロ自治体要請キャラバン
●2月福島で健康アンケート調査、放射能健診署名
●3月11日反原発関西ワンディアクション


★平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)関電前プロジェクト★  2016.1.7発行
HP http://www.zenko-peace.com/ZENKO関西(ブログ)http://zenkopeace.blog.so-net.ne.jp/
〒536-0016 大阪市城東区蒲生1丁目6-21共同スペース ひまわり気付
携帯 090-1588-6351(秋野) /アドレスakihara3654.jm@ezweb.ne.jp

甲状腺検査の新たなデータ/12月13日 放射能の健康被害を訴える大阪公聴会

【甲状腺検査の新たなデータ】
 11月30日の福島県民健康調査のあたらなデータの中で、二巡目の検査で甲状腺がん患者が39人、うち手術をした人が15人と公表されました。

 当初、二巡目検査(福島県は「本格検査」と言う)の受診率が低いことが気がかりでしたが、ここに来て「平成26年度検査対象者」の受診率が7割を超え、今後も少しずつでも増えるでしょう。県民の健康不安/関心が高いことが判ります。(一巡目検査の受診率は81%でした。)

 公表された結果では細胞診で甲状腺がんと判定された人が39人となり、前回から14人増えました。今回は平成26年度受診者の2次検査の判定が進んだことで、発見されるがん患者も増えたようです。今後は平成27年度受診者の判定もどんどん進みます。

 二巡目検査(「本格検査」)で気になる点があります。前回の公表データでも感じましたが、まとめると、

2次検査を受診して結果が確定した人のうち、「通常診断等」移行者の割合は現時点で73%で、一巡目検査(県は「先行検査」と言う)の66%より高い。

それにもかかわらず、「通常診断等」移行者のうち、「細胞診受診者」の割合が一巡目検査時の半分の20%(一巡目では40%)である。
            クリックして拡大
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 希望を込めて考えれば、細胞診の是非の判定が精密/正確になった、という事かもしれませんが、私は逆に政治的な臭いを感じます。

 甲状腺がんの異常多発を隠しようがなくなった段階で、国の「専門家会議」の委員らが持ち出した「過剰診断」は現在、異常多発を打ち消す唯一の「根拠」です。これが細胞診を控える圧力になっているのではないか?

 この影響が県民健康調査の臨床現場に持ち込まれるなら、検査結果の正当性の問題以上に、福島県民の健康に直結する悪影響、検査を受ける権利の侵害ではないか?

 いずれにしても福島県立医大が「細胞診」実施の判断基準を厳しくしたのだと思います。これが何をもたらすか?

まだ検査数が少ないので確定できませんが、「細胞診受診者」のうち甲状腺がん陽性と判定された人は一巡目検査で21%(537人中113人)、二巡目検査では31%(124人中39人)で、二巡目検査で「細胞診受診者」を絞ったとしても、がんの発見率が2倍になった訳ではない。~ 検査漏れ、発見漏れが心配されます。

【12/13 放射能の健康被害を訴える大阪公聴会】
 福島では甲状腺がんだけが問題なのではありません。もっと広範な健康の異変が起きています。大阪公聴会では、福島のゲストから福島の健康被害の実態を、医師から甲状腺がん以外の健康被害の増加について報告してもらいます。

 また原発・放射能事故からの避難者の方に、事故後の放射能汚染と健康の不安を証言してもらいます。

★ 「大阪公聴会」 12月13日(日) 13:30~16:30 エルおおさか・大会議室(大阪地下鉄/京阪「天満橋」下車)
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福島県民健康調査の結果について②

【福島県民健康調査の結果について②】
 8/31福島県民健康調査検討委員会の資料の下の方に「手術の適応症例について」という補足資料があります。 → http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/129308.pdf
   syujutusyourei.jpg クリックして拡大。

 前回の公表時(昨年11月)とほぼ同じ形式なので、数字を比較しました。
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 今回の公表で、細胞診を受けて「がん、またはがん疑い」と判定された138人中のうち76%が手術を受けた事になります。一巡目検査に限定すれば88%。これらの結果を見れば「過剰診断」の批判が成り立たないことは明らか。 

 2015年3月末までに県立医大で行った手術のうち良性腫瘍の1例を除く96症例の中で、リンパ転移74%、「軽度の甲状腺外浸潤」39%で、これも昨年公表段階と同じ。

 いずれにしても、「5ミリ以下のがん」手術の対象にも、二次検査の対象にさえなっていない、というのが建前の県民健康調査です。 環境省の専門家会議では、『大人には3ミリ程度のラテントがんが多い』とか、『小さながんは一生発症せずに終わる』とか言って、福島の事態から目をそらそうとして、間抜けな事を延々と議論してしましたが、この手術事例については全く言及できませんでした。これが彼らの一番の弱点です。

 【気になる事】
 先日も書きましたが、2013年度の検査で細胞診と手術の実施率が明らかに低下したこと。細胞診は‘12年度44%→ ‘13年度30%。  「過剰診断」の批判に影響されたのか?(2014年度以降の二巡目検査は進行中なのでもうしばらく様子を見ます。) 先の「手術の適応症例について」の中で鈴木眞一は、「(リンパ転移や浸潤の症例を)切除しなかった場合でも予後が良いかは不明であり、切除しなくてもよいという根拠にはならない。このあたりの議論は注意を要するもので経過をさらに見守っていきたいと考えている。」「当院では、明らかなハイリスク症例以外は片葉切除を選択し、患者様のQOL維持に努めている」とわざわざ述べています。これには県立医大の利権確保の意図もあります。

 県立医大は今、「ふくしま国際医療科センター」を建設中。そこには「甲状腺センター」「総合周産期母子医療センター」「子ども医療センタ-」などが入ります。県立医大病院21Lt.jpgDSCN1360.JPG
 
 放射能の健康被害を見越した対応です。

8/23もんじゅ・西村さん怪死事件の裁判支援集会

【8/23もんじゅ・西村さん怪死事件の裁判支援集会】

 大阪ではじめて、もんじゅ・西村さん怪死事件裁判の原告・西村トシ子さんが講演しました。それに参加して聴いた内容を紹介します。

 この裁判は、もんじゅナトリウム事故(1995)の「ビデオ隠し」問題の内部調査を担当した動燃総務部長・西村成生さんが、ビデオ隠しの調査報告をした日【1996年1月12日】の深夜に怪死した事の真相を追究するために、妻のトシ子さんが起こした裁判です。

 被告は東京都と中央区警察署長。請求内容は、西村成生さんの遺品の返還です。その中には「ホテルに届いたはずの西村さん宛FAX」、背広、靴などがあります。

 事件からすでに20年近く経ち、この間にトシ子さんは動燃の安全配慮義務違反を訴えて国賠訴訟などを起こしましたが、最高裁で敗訴。また殺人など刑事事件の告訴はすでに時効となっており、多くの困難がありますが、遺品返還請求の中で、事件の真相への手がかりを掴む裁判です。

 この集会で知ったことは、

① 警察署は西村成生さんが来ていた服と靴を返していない。『妻(トシ子さん)が処分に合意したので、廃棄処分した』という内容のことを裁判の書面で述べています。トシ子さんはそれはウソだと主張し、返却を請求しました。

② FAXは、警察署は「なかった」と言いますが、FAXの有無は真相解明の一つのポイント。西村成生さんは
FAXを読んで、何かの行動を起こしたはず。それが怪死事件のきっかけではないか?

③ 西村成生さんは「自殺。8階から転落死」とされましたが、死後の頭蓋骨や背骨のレントゲン写真では大きな損傷がなく、不自然。トシ子さんが警察の霊安所で見た遺体の印象は、「ケンカしたような跡があった。」

④ しかも転落後の遺体の現場写真はなく、遺体を担架にのせた写真しかない。

 これ以外にいろいろ『自殺』では説明つかないない事象があり、話を聞いていて、松本清張や森村誠一の小説みたいだ、と思いました。

 国家権力の闇、犯罪に切り込む裁判になります。

以下、引用。
【もんじゅ・西村裁判を応援する会の経過】  http://plaza.rakuten.co.jp/minito9/diary/201506300000/  より
■「もんじゅ・西村怪死事件の真相を究明する会」発足
 警察署長・東京都らを相手取り東京地裁に提訴
 遺品引き渡し請求訴訟へ
 西村トシ子さんからのメッセージ
 新たな裁判での闘いをご支援ください

 最高裁での「上告棄却」の不当判決から3年。この間、西村トシ子さんは、原発関係の集会などで地道な活動を続けてきた。一方、一昨年(2013年)には、亡くなった成生さんの遺した動燃の機密書類を綿密に分析し、それをもとに日本の原子力政策の深層に迫るレポート記事が数回にわたって週刊誌に掲載された。この連載は、のちにまとめられ『原子力ムラの陰謀』(朝日新聞出版)として出版。大きな反響を呼んでいる。
 そして今年、トシ子さんは「原子力ムラ」に殺された夫の死の真相を明かすべく、再び裁判で闘うことを決意した。新たな闘いに挑むトシ子さんにメッセージを寄せてもらった。

 「原子力ムラ」に殺された

 皆さま、大変ご無沙汰いたしております。裁判の際は、たくさんのご支援いただき、本当にありがとうございました。
 最高裁での判決は悔しい結果に終わりましたが、裁判をきっかけに、事件について広く知ってもらうことができました。判決後もさまざまな形でそうした機会を得ています。その中でとくに大きな出来事として、『原子力ムラの陰謀』という本が出版されたことが挙げられます。「もんじゅ・西村事件」を語るとき、いまやこれをはずすことはできないでしょう。この本はわが家に残された動燃の機密書類をもとに取材された週刊誌連載をまとめたものです。政府や原発推進派にとって「不都合な真実」が暴かれたその内容は、この事件を知る上でも、また日本の原子力政策の腐敗構造を知る上でも重要な資料といえます。旧動燃が反原発派に対する情報収集や国政選挙対策を職務としていたことなど、事件の背景にあった事実を浮かび上がらせています。これを読めば、夫の死の謎が解けていきます。まずは、本を読んでいただきたいと思います。

 1995年、もんじゅの重大事故により、国策であった核燃料サイクルの安全神話は完全に打ち砕かれました。その後、動燃による事故撮影ビデオの隠蔽が発覚し、批判が噴出。マスコミの過熱報道が続き、さらに反原発運動が大きくなり、国策として、もんじゅ事故をめぐる事態の収束が日夜練られました。その一矢として、日々高まるマスコミ報道に対する人柱ショック法が考案されたのです。そのショック法――動燃の西村自殺説の矢が的中し、もんじゅ事故に対する加熱報道は一挙に収束していきました。

 この「自殺説」に困惑される方もいると思いますが、実はこれは松本清張の小説『中央流砂』のストーリーにそっくりなのです。おそらく推進派がこれを真似、情報操作したのではないかと私は考えています。
 いま政府や東電は福島原発事故の情報を隠蔽し、矮小化した情報を発表していますが、これも構造は同じです。さらに、マスコミへの報道規制や圧力も見受けられます。
 福島原発事故の前から、原子力ムラは核燃料サイクルを維持するため、長年にわたり、根拠のない安全神話を垂れ流し、虚構の繁栄を築いてきたのです。

 警察は証拠や書類を破棄

 私の活動の第一の目的は、「自殺」とされている夫・西村成生の死因を国に訂正させることです。夫はホテル8階からタイル張りの地上に飛び降りたことになっていますが、本当に転落死なのでしょうか? もしそうなら、落下地点の遺体を警察が撮影しているはずですが、そのような写真はないのです。この事件は、「飛び降り自殺」とした「警察認定」の 「杜撰さ」に尽きるといえます。

 西村事件に対して関心を寄せる人がかなり増え、昨年(2014年)11月、「もんじゅ・西村怪死事件の真相を究明する会」が発足しました。この会の実行委員になっていただいた方々に事件を理解してもらうため、あらためて再調査に同行してもらいました。法医学者を訪ね、さらには、ホテルの敷地内の遺体発見現場に行き、ホテルと旧中央署との至近距離の関係を確認。そして、当時の警察発表を再確認するため、捜査した警察へ3回ほど面会に行きました。当時の署員はすでに退職し、本人に電話で問い合わせたとのことで、別の担当者が対応しました。その回答は、「事件の証拠や書類は廃棄した」というものでした。

 繰り返しますが、夫の死は自殺などではありません。殺されたと考えています。殺人事件の証拠物を廃棄するなどあり得ません。平成8年1月の殺人事件は時効撤廃となり、いつでも誰でも告発できます。本来ならば、事件は、発生時から警察と検察の仕事なのです。

 こうした警察での対応を受け、私は、この3月、訴訟に踏み切りました。内容は、警察の関係者と東京都を相手取り、遺品の引き渡しを求めるものです。夫が亡くなったとき、私は警察署の霊安室で財布など数点の遺品を警察の担当者から受け取りましたが、服など含め身につけていたと思われるものはほとんど渡されませんでした。「自殺」と発表した警察が遺留品として押収したと考えるのが普通ですが、還付請求をしたところ、「押収されていない」と回答がありました。ところが、前述の警察での面会では「返還した」と言われました。ここにも警察の「杜撰さ」があらわれていますが、いずれにせよ、この「遺品引き渡し訴訟」を通し、夫の死の真相が、さらに解き明かされると私は思っています。

 あらたな活動がスタートしました。今後も関心を寄せていただくとともに、裁判へのご支援をお願いいたします。

■「もんじゅ・西村怪死事件の真相を究明する会」からの連帯アピール
 トシ子さんの生き方に突き動かされ

 昨年の11月24日、80名の参加を得て、「もんじゅ・西村怪死事件の真相を究明する会」が結成されました。西村成生さんの死から19年。民事訴訟の結審から2年が経過したこの時期に「究明する会」が立ち上がったのは、つれあい西村トシ子さんの真実(真相)を明らかにする、生き方をかけた闘いが、皆を突き動かしたからにほかなりません。

 目標は、西村成生さんの死を「被疑者不詳の殺人」として司法機関に受理・捜査させることです。会の結成以降、活動の柱は、成生さんの記者会見から葬儀までの経過を徹底検証することに据え、警視庁中央警察署への衣類還付請求から闘いを開始し、順次、科学技術庁に対する私物返還請求、死亡現場から病院に死体を搬送した消防署に対する状況説明などを求めてきました。そして、トシ子さんが訴訟に踏み切ったことから、今後は「遺品引渡請求裁判」への支援をおこなっていきたいと思っています。

 福島第一原発事故で、東電・政府・福島県はメルトダウンやスピーディ情報を隠し、多くの方々を被曝させました。福島県民健康管調査検討委員会は秘密の会合を繰り返し、小児甲状腺がんを隠そうとしています。
 私たちは、究明する会の活動が、「原子力マフィアの全原発政策を貫く、徹底した嘘と隠ぺい、過小評価を突き、人権確立、原発再稼働阻止!廃炉!もんじゅ・核燃料サイクル廃止と一体の闘い」であり、同時に「人としての連帯、共生・共感をつくる闘い」と位置付けています。
 私たちの活動には、前回の民事訴訟と困難な時期の闘いを担われた多くの方々の努力と蓄積を継承し、広く協力を仰ぐことが不可欠です。
 結成集会に「西村裁判を応援する会」の藤田様はじめ多く方々に参加したいただいたことにあらためて御礼を申し上げるとともに、真相究明の闘いをともに進める連帯のアピールといたします。
 高瀬 晴久(もんじゅ・西村怪死事件の真相を究明する会 事務局)



◆裁判へのご支援・ご協力をお願いします!

 西村トシ子さんを原告として、新たな裁判が始まりました。この裁判に向け、昨年「もんじゅ・西村怪死事件の真相を究明する会」が結成されました。これは私たち「もんじゅ・西村裁判を応援する会」とは、別の形でつくられたものですが、私たちはこれと連帯し、応援していきたいと考えています。是非、裁判へのご支援・ご協力をお願いいたします。



甲状腺検査の結果について

【甲状腺検査の結果について】
 8月31日に公表された福島県民健康調査のデータの中で、甲状腺検査の結果に注目が集まっているので、私も見てみました。
→ http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-20.html

【一巡目検査(いわゆる「先行検査」)】の結果に大きな変化がない。2013年度被検査者のうち二次検査で細胞診を受けて甲状腺がん(「がん疑い」)と判定された人が1人増えて、合計112人になった。(良性1人を除く。)
 なお前回から今回までに新たに甲状腺手術を受けた者はいない。

【二巡目検査(いわゆる「本格調査」)】で甲状腺がん(「がん疑い」)と判定されたものが10人増えて、25人になった。
 なお前回から今回までに甲状腺手術を受けた者は1人(「乳頭がん」)。

★ 一巡目検査で甲状腺がん手術事例の患者は98人。受診者を分母に採り10万人あたりの発症率(罹患率)を計算すると、全国平均(1975~2008年)の40倍弱の罹患率です。これらは手術事例ですから、小さい甲状腺がんとか「一生発病しない甲状腺がん」ではありません。臨床事例またはそれに近い進行状態の甲状腺がんです。

    98人÷330476人×10万 = 32.6(人/10万人)

    全国平均罹患率(15~19歳) :  0.88(人/10万人)  
【気になること】
 一巡目、二巡目の検査で、「二次検査の対象」と判定された人のうち細胞診を受けた人の割合と、細胞診を受けた人のうちで甲状腺がん手術を受けた人の割合が、年度ごとに下がっています。一巡目検査からすでに2年以上経ち、今後に新たな細胞診や手術を受ける人は多くないと思われるので、2013年度の細胞診と手術の事例数が少ないことは気になります。二巡目検査はまだ途中なので、これから細胞診と手術事例が増えるかもしれません。注目しています。
      一次二次検査 (2).jpg
 それにしても、『がんであるが手術するほどのレベルではない』というがんの割合が増えたので手術や細胞診が減ったのか? そうなら良いのですが、私が危惧することは「過剰診断」を理由に甲状腺がんの判定/治療基準を引き上げているのではないか? 結果的に、必要な治療が妨げられていないか?という点です。「過剰診断」が叫ばれ始めたのは、2013年度検査の二次検査や二巡目検査(2014年~)の時期と重なります。この間に、甲状腺がん手術を仕切っていた福島県立医大の鈴木眞一氏が福島県「甲状腺評価部会」で手術事例を公表し、『ガイドラインに沿った適切な手術だ』と主張しました。またその後、理由はわからないが健康調査検討委員会の担当をはずされました。

【北茨城市の甲状腺検査結果の公表】
 北茨城市は、事故当時0~18歳であった市民に補助金を出して甲状腺検査を進めています。その結果が公表されました。自力の甲状腺検査を実施している自治体のうちで、A,B,C判定だけでなく「がん」の患者数も公表したのは北茨城市が初めてです。
→ http://www.city.kitaibaraki.lg.jp/docs/2015082500032/files/koujousenn.pdf

 この公表結果の「がん」は、細胞診で見つかったのか?手術で見つかったのか?どの診断段階で判定されたのかわからないので、細胞診の段階とします。 『チェルノブイリ事故の際の甲状腺がんは4~5年後から増加』という人がよくいるので、潜伏期間を4年と仮定すると、北茨城市の子どもの甲状腺がんの罹患率は、

    3人÷4777人÷4年×10万人 = 15.7(人/10万人)

    全国平均罹患率(5~24歳):    0.50(人/10万人)

 実際にがんが見つかったのは、2014年度検査の3593人(主に、事故当時5~18歳)の中からなので、

    3人÷3593人÷4年×10万人 = 20.9(人/10万人)

    全国平均罹患率(10~24歳):   0.64(人/10万人)

 いずれにしても全国平均の30倍以上の多発です。ただし分母となる受診者数が5000人程度なので少ないという欠点があります。

 そこでこの公表データと、1年半前に環境省が公表した福島県外3県の甲状腺調査とを、罹患率でなく『甲状腺がんの発見率』で比較しました。環境省の調査は山梨、青森、長崎県で行われ、被検査者数が4365人でその年齢が3~18歳であり、北茨城市の調査とよく似ています。甲状腺がんと判明したのは1人でした。(詳細に見ると両者に違いがあるので、あくまで大まかな比較です。)

 ・「3県」の甲状腺がん発見率は、 1人÷4365人×10万 = 22.9(人/10万人)

 ・北茨城市の甲状腺がん発見率が「3県」と同じと仮定してポアソン確率を計算すると、

    北茨城市の3593人中がんが0人見つかる確率:43.9%

                       1人見つかる確率:36.1%

                       2人見つかる確率:14.8%
 
                       3人見つかる確率: 4.1%
   
                    3人以上見つかる確率: 5.1%

 「3人以上見つかる確率」は5%、1/20ですから、北茨城市と「3県」の発見率が同じである可能性はとても低いです。調査規模は小さいが、環境省のデータに基づいても福島周辺の地域で甲状腺がんの異常多発が推定されます。

 なお福島県の甲状腺検査と「3県」調査の比較は、少し古いですがここにあります。

→ http://no-nukes-hokusetsu.blog.so-net.ne.jp/archive/201404-1

【北茨城の放射能】
 それにしても、北茨城市の甲状腺検査は福島県と違い、希望者が受ける制度です。しかも受診の際には事前に「甲状腺の講習会」を受けることを義務づけられます。それでも受診対象者の6割以上の市民が自ら受診するのですから、市民の放射能の関心と危機感はとても強いのだと思いました。北茨城市だけではないはずです。

 友人に教えてもらったデータです(NHKのHPより)。事故直後(3/15)の北茨城市の放射線量は、福島市やいわき市と同程度、郡山市や白河市の2倍でした。この時期の放出放射能にはヨウ素131が多量に含まれていました。
福島線量.jpg郡山線量.jpgいわき線量.jpg北茨城線量.jpg

7/31 放射能健診を求め、環境省と交渉しました

【7/31 放射能健診を求め、環境省と交渉しました】

 放射能健診100万人署名運動ニュースNo.22より、交渉の報告です。

 この日の交渉を終えて、放射能被害の対策を求める運動は新たな段階に入ったと思いました。環境省は返答に混乱し、甲状腺がんの多発を否定する根拠を示せませんでした。一方で7月、福島県が不十分ながら甲状腺治療費を補償する制度をつくり、世論が県を動かし始めました。

 また、7月の福島激励訪問団は、福島県内の各地で健康被害を聴き取り、共通する病状がすでに広く現れていることを確信しました。甲状腺がんを象徴的に議論する段階から、全般的な健康被害の調査と対策を求める段階に移ります。

【環境省は、甲状腺がん手術104例の評価を答えられず】
 7月31日、福島議員事務所のご尽力で環境省に請願&署名提出を行いました。環境省の対応者は新しく天野参事官補佐に替わりました。
      7.31環境省交渉1.jpg
 この日の請願の第1は、『甲状腺がんの手術事例が104人にのぼったが、環境省の見解は? また甲状腺がん手術事例について、環境省あるいはその専門家会議の中でこれら手術事例について議論をしたのか?』です。

(環)専門家会議の「中間とりまとめ」は疫学文献を踏まえ、成人にエコー検査をすると罹患率の10~50倍の甲状腺がんが見つかり、福島の状況を原発事故由来と積極的に示唆する根拠はない、との見解。さらにUNSCEAREが『結節などの高い発見率は、検査が集中的で機械が高感度が原因で、事故による物ではない。地域がん登録との比較でも、機器の性能や検査技術の向上で発見率が上がっているため、と。

(署名実行委)訊いたのは、専門家会議で細胞診にとどまらない手術例(当時58例)の評価の議論があったのか?子どもの手術したがんの割合が全国比で多いのか多くないのか? この点は3月の請願時にも回答がなかった。福島県甲状腺評価部会では浸潤/転移が9割。中間とりまとめにも記述がない。

(環)専門家会議で直接議論していないが、中間とりまとめでは『一般に若年の乳頭がんは転移は多いが生命予後は良い』と。

(署)手術104例を多発と見るのか、放っておいて良いがんと見るのか、対策を採るべきなのか?結論を聞きたい。中間とりまとめでは『放っておいて良い』と読めるが、それで良いのか?

(環)第9回専門家会議で、甲状腺がんが発見されても少し様子を見た方が良い、進展が早くない、浸潤・転移があっても生命に影響が少ない、手術の合併症の方が怖い、となった。

(署)『多発』と認めるのか?

(環)成人に対する検診では罹患率の10~50倍のがんが発見される。環境省「中間とりまとめ」と福島県の検討委員会(甲状腺評価部会)「中間とりまとめ」に大きな違いはない。

(署)問題は、環境省「とりまとめ」には成人のがんや一般論で『予後が良い』とは書いてあるが、手術例104についての評価がない。環境省は『福島県立医大は放っておいても良い物まで手術してしまった』という意味で言っているのか?

(環)環境省は疫学文献を踏まえて、環境省と福島県の見解に大きな違いはない。

(署)肝腎な部分の回答を回避している。訊きたいのは、やるべきでない手術だと言いたいのか?やって良かった手術なのか? 質問の意味を判ってもらえたか?

(環)質問は理解した。

(環)甲状腺がん手術は細胞検査を踏まえて、先生方の判断でがんを取るか取らないか判断して、その結果が104例。その結果を見て手術が適切か適切でなかったか判断されて、私が見た資料では『ほとんどがやるべきであった』と。

(署)今とても・・・・。環境省が『手術は不適切でない』と言ったのは初めてだ。

(環)「過剰診断」と術後の診断とは別問題。A2・Bの判断が多いのはスクリーニング検査のせいということと、手術が適切か否かとは別問題。

(署)それは私もそう思う。問題は、手術が104まで増えたことの評価。スクリーニングの診断の結果やった手術が過剰だという話と、そうでなく進行していたがんで適切な手術だという意見があるが、手術自身は間違っていないということで良いのか?

(環)第9回専門家会議で、基本的には経過観察、今回の術後の結果を見ると『妥当である』との部分を引用。

(署)103例の手術を内容において適切と認めるなら、手術するべきレベルの症例となる。危惧される事態。環境省がその認識なら、ぜひ踏み込んだ対策をお願いする。福島県が19歳以上の甲状腺医療費を負担するが、国が前に出て支援、大人にも甲状腺検査を。

(環)少し訂正します。先に紹介した資料は福島県の物で、環境省の物ではない。環境省がまとめたのは第9回の専門家会議の議事録。

(署)もう一度訊く、環境省は104の手術事例を異常多発と思っているか?それとも、やらなくて良い手術まで福島医大がやってしまったと思っているか?

(環)環境省は福島県の検討委員会と大きく異なる見解ではない。

(署)その上で手術事例の評価を訊いているのだが、今日は答えをもらえないか?

(環)福島県の基準に従って判断されて、2次検査後の判断は各先生に任されていると認識。

(署)手術は適切か不適切かは判らない、と言うことか?

(環)環境省の評価は、原発事故由来だと積極的に示す根拠は現時点ではない。一般的に超音波検診を行うと罹患率の10~50倍の甲状腺がんが見つかる。

(署)肝心なところを外すなよ。さっき手術は適切だと言ったじゃないか。取り消すのか?

(環)1巡目の先行検査と他3県で同様の検査を比較して、その結果はそれほど変わらない。これとの対比で2巡目、3巡目の検査で有意に増えるか否か、これからの問題。

(署)それは違う。それなら30万人中に手術事例100が出てくる。これが福島の事故前の姿だと言うことになる。それ自体が大変なこと。こんなに甲状腺がんが多い。3県の調査で手術例が出るのか?5000人しか検査してなくて、30万人と比較できるのか?
 もっと福島県に向きあえ。京都の避難者の健康相談でも早期避難者に健康被害が進んでいる。今県内に残る人はもっと被ばくが大きい。

(環)この場で断定することは難しい、今回は控えさせて頂く。科学的知見、コンセンサスに基づいて進めることが重要と考える。

(署)これは次回の宿題とする。

【福島県外の甲状腺検診を要求】
 2つ目の要求は「福島県外の甲状腺検診」です。茨城県・千葉県で独自の甲状腺検査をする市町村の検診データを示して、国の検診を要求しました。松戸市議・増田さんも出席。

(署)一番大規模に甲状腺検診を行っている東海村は、3800人以上の子どもを検診。どうやっているのか電話で聞いた。検診は経験のあるエコー技師が行い、医師が診断。国からの支援は何もない、と。小さな村がこれだけ努力している。何で環境省は放置するのか。

(環)(「中間とりまとめ」をもとに、過剰診断の恐れとか不要な治療を受ける恐れとか、近隣県の有識者会議が『特別な検査は不要』と結論を出したとか理由をつけて、)環境省としては、たとえ希望者のみに対してであっても、福島県外での実施には慎重であるべき。

(署)福島県よりも汚染がきついところが関東に、面的に広がる。文科省の航空モニタリングでも判る。松戸などは会津より高い。

(松戸市・増田議員)環境省はどのように責任を感じているのか?ぜひ答えをほしい。専門家会議でも近隣県のことは議論されなかった。最近出た厚労省の「H26年度分担研究報告書」で、「現時点で・・・・・・因果関係を明確に否定することも難しい。」「福島県と近隣県では、がん登録と被ばく手帳を組み合わせフォローアップする必要がある」という意見を取り入れてほしい。

(署)松戸市でも百数十人の中で1,2人と「要精密検査者」が見つかった。また千葉県には有識者会議はない。中間とりまとめは千葉県には形式的にも当てはまらない。

(環)近隣県では、福島の県民健康調査の結果を見て、その上で心配な人にはリスクコミュニケーション、個別相談を充実させる。

(署)それだけか?松戸市から何度も甲状腺検査の要求があるだろう。

(増田市議)被ばくさせた責任が感じられない。虚しい。被ばくさせた側が責任持ってやるべき。松戸市も健康推進課が苦労して甲状腺検診を整えているが、医師も理解が行き届かないので、国が見てほしいと現場から声が上がっている。チェルノブイリとは人口密度が全然違う。相当の被害が出てもおかしくない。初期被ば
く内部被ばくを受けている。誰の責任か?

(環)個人的には私も全くその通りと思う。それをどういう風にやっていくか、それは国全体の責任。復興と併せて進める。個人的にはそう思う。

(署)それで、環境省としては?

(環)国は統一的基礎資料を作っている。環境モニタリング、除染、食品など全ての情報がある。これで正しい情報を広げる。

(署)米エネルギー省が2011年4月に浜通り、中通りの航空モニタリングをやってヨウ素を検出した。そのデータはご存じか?

(環)はい。

(署)ヨウ素131はセシウムと挙動が違う。ヨウ素131は南の方に直線的に大きな汚染を残した。これは確認できるか?

(環)ええ。

(署)残念ながらいわき市までのデータしかないが、いわきまで非常に高濃度のヨウ素が検出された。だから茨城、千葉に流れたことははっきりしている。米国の調査結果でも関東圏に大量のヨウ素が降り注いだことは明らか。他の調査でも広範囲にヨウ素を検出、甲状腺がんに強いインパクトを与えたことは間違いない。この結果を無視するのか?

(環)統一的基礎資料にヨウ素の濃度が出ている。その中で全体でどうなっているのか考えて頂ければ・・・・。

(署)だから関東圏を含めて甲状腺検査をするべきだ、と言っている。今あるデータだけでも関東にすごい影響が出ている。

(環)南の方、茨城、栃木へ流れたと言うが、それは程度問題。福島の方に幅広くあるからそこを調査している。

(署)程度問題と言うが、どのくらいヨウ素が降ったか測ったのか?データあるなら出しなさい。

(環)確か載っていたので、ヨウ素の資料がどこにあるか、後ほど確認して小山さんに伝える。

(署)明らかに公表資料でも、北関東に高濃度のヨウ素が確認されている。だからいろんな自治体が努力している。なぜ目をつぶる?

(環)JAEA東海村や筑波でヨウ素を検出した結果を基に評価している。また中間とりまとめでは、甲状腺検査のメリット、デメリットを考えながら進めている。

(署)環境省が本気でそう思うなら、東海村がやっているスクリーニング検査は危ないと言うことか? ところが天野さんの前任者は、『勝手にやってください。』『自治体の検査は専門家がやるのでないから検討材料に加えない』と言った。本気で心配するなら、もっと関われよ。

【署名は136147筆(今回4796筆提出)】
 ここで時間切れ。3点目の要求は説明のみ。福島訪問で聴いた健康被害が、どこでも驚くほど共通であること(心臓病による突然死、目の病気・飛蚊症、関節痛)など指摘。最後に署名を4796筆提出しました。
環境省に署名提出.jpg
 この日の交渉を終えて、放射能被害の対策を求める運動は新たな段階に入ったと思いました。環境省は返答に混乱し、甲状腺がんの多発を否定する根拠を示せませんでした。一方で7月、福島県が不十分ながら甲状腺治療費を補償する制度をつくり、世論が県を動かし始めました。

 また、7月の福島激励訪問団は、福島県内の各地で健康被害を聴き取り、共通する病状がすでに広く現れていることを確信しました。甲状腺がんを象徴的に議論する段階から、全般的な健康被害の調査と対策
を求める段階に移ります。引き続き放射能健診署名にご協力ください。

ご案内:8/23もんじゅ・西村さん怪死裁判支援の集会。関西初です。

【ご案内:8/23もんじゅ・西村さん怪死裁判支援の集会。関西初です】
◆もんじゅ西村裁判をともにたたかおう!◆

 もんじゅ西村怪死事件の真相究明を求める裁判を闘う原告・弁護士・支援する会の方との報告・交流会を行います。
823nishimura.jpg
 1995年のもんじゅナトリウム漏洩事故で現場のビデオを隠ぺい・改ざんし批判にさらされた旧「動燃」(現在は日本原子力研究開発機構に改称)。

 この事故の内部調査に中心的存在であった旧動燃職員の西村茂生(しげお)さんが、調査結果を公表した記者会見の直後に謎の死を遂げました。
 
 西村トシ子さん(妻)が原告になって、その死の真相を究明する裁判の支援集会。 ぜひご参加ください。

◆8月23日(日) 13:30

 エルおおさか南館10階 101号 (地下鉄/京阪「天満橋」徒歩5分)

◆資料代700円

<報告者>
・西村トシ子さん(原告)
 
・大口昭彦弁護士、酒田芳人弁護士

・沓沢大三さん(支援する会)

<内容>
・原告の報告

・弁護団から、裁判の現状とねらい

・質疑、交流

<人の命をも顧みない原発の隠ぺい体質!>
 
 もんじゅ西村裁判の報告・交流会が、8月2日、2015東京ZENKOで開催され今後の闘いの方針が討議されました。この裁判を関西でも広め、原発(原子力ムラ)の本質を再認識し、反原発の闘いの柱に据えてもらうために、原告・西村トシ子さんを大阪にお呼びすることになりました。

 1995年のもんじゅナトリウム漏洩事故で現場のビデオを隠ぺい・改ざんし批判にさらされた旧「動燃」(現在は日本原子力研究開発機構に改称)。

 この事故の内部調査に中心的存在であった旧動燃職員の西村茂生(しげお)さんが、調査結果を公表した記者会見の直後に謎の死を遂げました。
 
 夫の死の真相を究明しようと闘ってきた妻トシ子さんは今年2月、重要な手がかりの衣服などをいまだに返還しない警視庁中央警察署と東京都を相手取り提訴しました。今年7月1日には、西村成生さんの遺品引渡請求訴訟の第1回口頭弁論が東京地裁で開かれました。支援者が傍聴席を埋めた弁論では、原告・被告が訴状・答弁書を陳述。

 原告代理人の大口昭彦弁護士は、この裁判は遺品返還請求にとどまらず西村さんの死の真相究明を趣旨に含むことを説明しました。
 
 原告・西村トシ子さんの次回の意見陳述は弁論として行われ、裁判としては異例の重い価値ある取り扱いになりました。裁判長が原告意見陳述を却下しなかった理由の一つに、傍聴者が多く簡単に済ませられる裁判ではないと思わせたことが挙げられます。
 
棄民政策をとる原子力ムラと通じる!
 西村トシ子さんは訴えます。「公権力を使って人の命をないがしろにする体制をやめさせなければならない。福島原発事故でも故郷に帰れず人間性を奪われた多くの人を生み出
しながら、原発を再稼働させようとしていて恐ろしい。私たちは平和でなければならないし、権力で人生が変更させられることは許されない」と裁判への思いを語っています。こ
の裁判を心より支援し、連帯していきましょう。

★この裁判は、国家賠償で「未返還遺品請求訴訟」

 被告:東京都中央署署長  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「もんじゅ・西村さん怪死事件」とは、国による組織的な犯罪の可能性をえぐり出す裁判です。

<もんじゅ・西村怪死事件の経緯>
1.1995年12月8日、動燃の高速増殖炉もんじゅで、原子炉の2次冷却系配管からナトリウム漏洩事故が発生。       
          
2.1995年12月22日 理事長は総務部次長 西村成生さん等に、もんじゅ事故とビデオ隠し内部調査の特命を出す。

3.1996年1月12日、動燃は3回の記者会見を行い、動燃本社はビデオ隠蔽への関与を認めたが、その追加調査の3回目の記者会見を西村さん等に行わせた。
 翌朝、西村成生さんはホテル敷地内にうつ伏せで倒れているのを大畑宏之理事が発見し通報。警察は遺書?があったとし、理由に午前5時頃自殺したと断定、司法解剖を行わなかった。

4.警察が「自殺者が出た」と発表した事により、もんじゅ事故の批判や過熱報道は一斉自粛。もんじゅ生贄策だった。

5.警察は事件性がないと発表しながら、遺体発見時の西村成生さんの全着衣等(ホテルFAX受信紙)を遺族に未返還、これらを請求する裁判です。
 
この裁判原告は、死亡した西村成生さんの妻・トシ子さんです。


共催:もんじゅ西村怪死事件の真相を究明する会/ 平和と民主主義をめざす全国交歓会(ZENKO)
お問い合わせ TEL 070-5263-3004 



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