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福島県が、甲状腺がんの医療費の公費負担を決断した/3月末に、環境省に署名提出&請願行動を準備します

【福島県が、甲状腺がんの医療費の公費負担を決断した】
 福島県は、原発事故時に18歳以下の県民が甲状腺がんにかかった場合、治療の費用を公費負担することを県議会で表明しました。

 一歩前進、だと思います。健康被害の医療補償が一部実現しそうです。

 1月16日に放射能健診100万人署名運動全国実行委員会は、福島県との交渉で、甲状腺がん患者への医療費を県が負担するよう要求しました。 県は特に甲状腺がんの2巡目の検査で新たながん患者が見つかったことについて、「私たちが危機感を持っているのは『甲状腺がん疑い』が増えて、その方々に精神的ケア。もう1つは経済的ケア。何ができるか危機感を持って検討している。」「今は内容は言えない」と答えました。

 その時に予想された内容が実行されそうです。

 → http://www.minyu-net.com/news/news/0225/news8.html
【福島民友2/25】19歳以上も「治療費」補助 原発事故時に18歳以下対象
 「県は、東京電力福島第1原発事故当時18歳以下でその後に19歳以上になった県民が、県民健康調査の甲状腺検査で甲状腺がんやがんの疑いと診断された場合、がんの治療費などを国の交付金を活用して負担する。18歳以下の医療費は県が無料化しているが、19歳以上は医療保険の対象となり、無料化の対象外となるため。県は新年度早い段階で公費負担を始める方針。負担の額や期間など具体的な方法は今後検討する。
 24日の2月定例県議会で、民主・県民連合の渡部譲議員(会津若松市)の代表質問に鈴木淳一保健福祉部長が答えた。県が19歳以上の甲状腺がんの治療費を補助する方針を示したのは初めて。新年度の政府予算案に、県民健康調査の支援経費として盛り込まれた交付金を財源に充てる。」

 私が注目するのは、「原発事故当時18歳以下でその後に19歳以上になった県民が、・・・・・」の部分です。どの甲状腺がんにも医療費を県が出すのではなく、原発事故の影響を事実上認めました。

 また県は先の交渉時に、「国に医療費負担を強く要求している」とも言いました。本来は国が加害責任をとるべき事です。 

 一方、大きな問題があります。上の報道では、「県民健康調査の甲状腺検査で甲状腺がんやがんの疑いと診断された場合、がんの治療費などを国の交付金を活用して負担する」とされ、県は県民健康調査を受けない人には、甲状腺がんに罹っても医療補償をしないようです。県民健康調査の枠組みをあくまで守りたいのでしょう。

 もう一つ。県は明示的に「原発事故の影響」「因果関係」を認めてはいません。先の交渉で県は「原発事故がなかったらする必要がなかった甲状腺検査、手術だ」と言いました。これは二つの意味に解釈されます。

 放射能被ばくの影響で甲状腺がんになった。その因果関係を認めて、本来は東京電力と国がするべき医療補償を県が当面肩代わりする。

 放射能事故で始めた「県民健康調査」は過剰診療だった。本来不必要な手術までしてしまったから、その責任をとって県が医療費を負担する。

 福島の「県民健康調査検討委員会」の下にある「甲状腺検査評価部会」で今年2月2日、渋谷健司委員が「今回の調査が無ければ、必要の無かった診療がなされている可能性が高く、医療費は保険診療ではなく、検診の枠内で補償されるべき」と文書で提案しました。過剰診断が原因。あくまで放射能の影響を認めない。これだと責任は、東電でも国でもなく福島県内で完結します。

 
【環境省の放射能健康対策「当面の施策の方向性」が決定された】
 2月27日、環境省が放射能の健康管理について「当面の施策の方向性」と、それに対して寄せられたパブリックコメントのまとめを公表しました。

 「当面の施策の方向性」→ http://www.env.go.jp/press/files/jp/26325.pdf

 「寄せられた意見」→ http://www.env.go.jp/press/files/jp/26324.pdf

 2/28朝日新聞に「環境省が近隣県のがん、その他の疾病の増加を調査する」と報道されましたが、環境省が自ら調査するのではありません。統計的有意差が現れないように調査結果をまとめるだけです。(これは操作可能です。)

 「当面の施策の方向性」は、国は何もしない、責任をとらない、という点で今までと全く変わりません。甲状腺がんの医療補償は福島県にやらせておけ、です。

 しかしこの2ヶ月で状況は大きく変わりました。2月12日の甲状腺検査の公表データでは、

 前回から3年後の2巡目の検査で、8人に甲状腺がんが見つかりました。その腫瘍の直径は6ミリ~17ミリ、平均10ミリ。1巡目検査ではみんな5ミリ以下だったはずですから、この2~3年で平均5ミリ以上大きくなったことになります。

 その8人のうち検査時の年齢が10歳と13歳の子が1人ずつ。
 国立がんセンターの甲状腺がん統計で10~14歳の甲状腺がん発症は、1999年~2008年では全国平均10万人当たり年間0.2人です(100万人に2人)。私の粗い計算では、全国平均の19倍の頻度。
 また1巡目の検査では109人の甲状腺がん患者のうち10歳以下の患者が1人、13歳以下が12人でしたから、2巡目の検査では、より低年齢にがんが多発する可能性が見え、危惧されます。

 福島県も、これらの点に危機感を持ったのかもしれません。

 少し残念なことがあります。パブリックコメントに応募した件数が968。同じ時期の高浜原発の再稼働に関わるパブリックコメントの1/4、昨年の川内原発や一昨年の「被災者支援法の基本方針」のそれと比べると大幅に少ない。

 反原発運動の中に原発事故の被ばく者・被災者の問題が座っていないのか?と心配になります。膨大なページ数の再稼働の審査書に比べたら、今回の「当面の施策の方向性」はほんの数ページ。すぐに読めるのに意見の件数が少ないのは、この問題の重要性の認識が運動の中に広がっていないことの反映と見るしかありません。

 放射能健診署名運動で、健康被害と健康不安が問題なのだと訴えましょう。

【3月末に、環境省に署名提出&請願行動を準備します】
 詳しい時刻、場所は改めてお知らせします。


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